徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

数の風景-93

 一般の高次方程式の解法(1)


 ここまで、ある決まった形の高次方程式の解を求めてきましたが
 やはり、最終的には一般的な形の高次方程式の解について考え
 てみたくなります。
 そこで、最高次の係数が1で、それより小さい次数の係数および
 定数項は任意の値である一般的な高次方程式について、解を求
 めてみます。

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 一般に、Xのn次方程式の解を求めるには因数分解、つまり上の
 式をつぎのようなn個の(X-□)の積の形、または少なくとも1個
 以上の(X-□)と残りの高次方程式の積に変形する必要があり
 ます。

  (X-□)(X-□)(X-□)・・・(X-□)=0
                   □には各々解が入る
 この式では一つでも( )の中の□が見つかれば、それが一つの解
 となります。

 そこで、ここまで見てきたオイラーの公式から導かれたつぎの知見
  ① Xの累乗根は多種類の虚数で表される
  ② 各虚数はすべて、R-i座標上で半径1の円周上に存在する
    (R+i)形複素数に変換できる
 を踏まえて、解を求めてみます。

 解探査はつぎの方法で行います。
  ① 解を求める高次方程式をつぎの形にする

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  ② R-i座標上において、半径1の円周上のいくつかの点を
    選定する
  ③ 選定した点を f(X) のX値として代入して計算し、結果を
    (R+i)形で記録する
  ④ 選定したすべての点について、計算結果をR-i座標上で
    記録し、R,i 共に f(X)=0 となる点、またはその可能性
    ある点を探す

 高次方程式の例として、つぎのXの12乗の方程式について上の
 ①~④の手順で零点のありかを探してみます。

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 選定したX値は図の12点です。計算の結果、実数解と虚数解は
 つぎのようになりました。

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 □で囲んだ数字が計算結果です。ここでの計算結果は実数、虚数
 共に0になるX値はありません。しかし、別々になら零点がありそう
 です。 まず実数については、X=-(√3-i)/2 と X=-1 との間、
 そして X=-1 と X=X=-(√3+i)/2 との間の2箇所に零点があり
 そうです。一方、虚数の零点については、X=-1,1 の2点が円周
 上に見られます。

 

 

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