一般の高次方程式の解法(2)
前回の零点探査で、実数、虚数共に0になるX値は見つかりません
でした。しかし、実数、虚数別々になら零点がありそうです。そこで
実数について零点がありそうな箇所に焦点を絞って、零点探査を
してみたいと思います。
この例では一つの零点のX値を求めたら、同様につぎの零点を求め
ます。その値をそれぞれ cosθ1 ,cosθ2 とすると、高次方程式を
つぎのように変形します。
(X-cosθ1)(X-cosθ2)(Xの(n-2)次式)=0
さらに、(n-2)次式から同様に次の零点を探します。このようにして
さらに多くの零点を求めることができるかもしれません。
前回の高次方程式において、実数解については、X=-(√3-i)/2
と X=-1 の間、そして X=-1 と X=X=-(√3+i)/2 の間の
2箇所に零点がありそうでした。
まず、そのうちの一つ、 X=-(√3-i)/2 と X=-1 の間で実数解
の零点を探ってみます。零点を挟む2点はつぎのように、三角関数
および指数関数として表すことができます。
X=cos(5π/6)+i sin(5π/6) =e のi(5π/6)乗
X=cosπ+i sinπ =e のiπ乗
上の式を利用すると累乗の計算が楽にできます。
零点追跡の方法は、つぎの手順で行いました。
以下は実数Rの零点追跡ルーチンです。
① 実数解R>0となる点をθ1=πとし、R<0となる点を
θ2=(5π/6) として、その中間点θ=(π+(5π/6) )/2
を求め、X=cosθ として、高次方程式の計算をする
② 解が正の数ならばθ1をθ値に置き換え、
負の数ならばθ2をθ値に置き換える
③ θ1とθ2の中間点θ=(θ1+θ2 )/2 を求め
X=cosθ として、高次方程式の計算をする
④ ②→③のルーチンを繰り返して、高次方程式の
計算結果を限りなく0に近づけていく
虚数iの零点についても、追跡ルーチンは同じです。ただし、X値
を X=sinθ として計算することになります。
実数Rの零点追跡結果はつぎのようになりました。 同じθ値での
虚数iの値も並記しています。
実数の零点は θ=2.743 辺りであることが求められました。
しかし表からも判るように、虚数iの値は0ではなく、0.59 辺り
です。
もう一つの実数の零点も同様にして求めたところ、
θ=3.54 辺りであることが判りました。ここでも虚数 i の値は
-0.59 辺りで、やはり 0 ではありませんでした。