徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

コラッツ予想-22

 整数Xをグループ分けして調査

 前々回 逆コラッツの計算で得た①~⑥の結果を数値計算で確認して
 いきます。
 ここからは整数Xをつぎのようにグループ1~3に区分して調査します。

 P=1,2,3,4,5,・・・ とするとき、数Xを

   グループ1 X=3P-2
   グループ2 X=3P-1
   グループ3 X=3P

 と区分する
 
 X≦100 の整数について、逆コラッツの計算を1つの分岐も漏らさない
 よう step(-3) まで行なった結果を表にしました。

 

 表の見方は、整数Xに対して逆コラッツ計算step(-1)は偶数処理 2X 、
 奇数処理 (2X-1)/3 をしており、step(-2)、step(-3) の値に対しても
 同様の処理をしています。
 この表から①~⑥を支持するつぎの3つの重要な知見が得られます。

  1) グレーのマスクをしているのは、整数でない値になった処理結果
   を表している
   非整数は1step前に処理される整数値が存在しないことを示して
   おり、1度非整数が現れたらそれ以前にも整数は現れない
  2) 最下欄に集計しているように、発生する整数のうち偶数と奇数の比
    偶数:奇数 は step(-1)、step(-2)、step(-3)共にほぼ 3:1 である
  3) 1以上の全ての整数である現在の整数Xに対応してstep(-1)から
   全ての奇数と偶数とが現れることが確認できる
   よって全ての整数Xに対応して1step前に全ての整数が存在する

 3)項に関して、逆コラッツの計算では現在値Xを1ずつ増加していくとき
 step(-1)では偶数値が先行して現れ、奇数値が遅れて現れます。

 

 

コラッツ予想-21

逆向き計算を援用した数値変化追跡(3)

 前回に続いて、peak値が 4616 となるコラッツ計算での逆コラッツの並び
 について調査を進めます。
 つぎは表の左側に 1からスタートし、peak値 4616 を経由して 奇数値
  X=27 に到る逆コラッツの計算値を配置し、その右にそれぞれの数値
 に対して1つの分岐も漏らさないよう step(-1)の分岐、step(-2)の分岐、
 さらにstep(-3)の分岐を並べて表したものです。

 この表で、step(-1)~(-3)の数は、全て X=27 からスタートした計算の
 流れに合流しています。
 また、step(-1)の分岐、step(-2)の分岐での奇数の発生が非常に少な
 いことがわかります。分岐(-1)では49個の整数のうち奇数値は8個しか
 発生しておらず、さらに分岐(-2)では偶数しか発生していません。
 これは、コラッツの計算中に発生する奇数と偶数の比率を 奇:偶=1:1
 として1への収束判定を行なっていたこれまでの前提を見直す必要が
 あることを示しているようです。

 

 

コラッツ予想-20

 逆向き計算を援用した数値変化追跡(2)

 コラッツの計算で、step数が70 前後とstepの長い数がありました。
 X≦60 の範囲では X=27,31,41,47,55 です。
 それらのX値は、コラッツの計算でpeak値がいずれも 4616 となります。
 そこで、1をスタートの数として peak値 4616 を経由し、それらの数Xに
 一致するまで逆方向に計算してみます。

 上の計算結果のデータに並行して2箇所、比較用の計算データを表示
 しています。
 1箇所目はstep(-16)~(-18)、2箇所目はstep(-30)~(-34)です。 この
 2箇所は、奇数処理と偶数処理の回数は同じだけれど、その順序が
 異なっています。
 その結果、1箇所目のstep(-18)、2箇所目のstep(-34)では比較用の
 計算値が1だけ小さい値になっています。
 この値の違いが、それをさかのぼるstepでの計算値に大きな差をもた
 らします。
 この例では1箇所目は81となったところで、2箇所目は1437となった
 ところでそれ以前に奇数が現れることはなくなりました。
 81と1437は3の倍数で、ここでも前回と同じ動きになりました。
 以上の2箇所の比較用計算データも分岐の例ですが、さらに分岐例を、
 step(-49)~(-50)、step(-66)~(-67)の部分について表示しています。

 ここまで見てきた逆コラッツの計算で得られた結果をつぎに整理します。

 ①コラッツの計算では計算式が一意的に決まるが、逆コラッツ計算では
  計算式が一意的には決められない
 ②逆コラッツ計算で奇・偶の並びを選択して整数の計算値をつないで
  いくことにより、全てのコラッツ計算を逆方向に計算できる
 ③全てのstep、全ての奇・偶の分岐について逆コラッツ計算を行なえば、
  その分岐から伸びる枝にまた分岐が現れ、1からスタートした計算値
  は stepを遡るごとに分岐を増していく
 ④逆コラッツ計算では、偶数処理(前stepが偶数)は2Xで問題ないが、
     奇数処理(前stepが奇数)では整数にならない数Xがある
 ⑤逆コラッツ計算で一度3の倍数の奇数が発生したら、それ以後の逆
  コラッツ奇数処理で整数になることはない

 以上に加えて-14での判定を支持する、つぎの動きも見られます。

 ⑥各枝に現れる数値に同じ値は現れず、また別の枝どうしの間でも同じ
  数は現れない 

 コラッツの計算と逆コラッツの計算の関係は、あたかも一本の樹木と
 それに登ったアリの動きのようです。
 木の根元を1とするとき、コラッツの計算は木に登ったアリが根元まで
 降りていく動き、逆コラッツの計算は木に登る動きです。

 

 

 

コラッツ予想-19

 逆向き計算を援用した数値変化追跡(1)

 ここからは、コラッツの計算を逆向きにたどることにより見えてくる数の
 構造とそのグループ化、そして双方向の計算の関係について調べていき
 ます。
 コラッツの計算は任意の数Xからスタートし、最終的に1に向かっていると
 予想されていますが、そうなら1またはそれに近い小さい値からスタートし、
 コラッツの計算と逆方向に計算していくことにより、何らかの知見が得られ
 るかもしれません。 そこでまず逆向きのコラッツ計算式を求めてみます。

ここで、コラッツの計算と逆方向の計算(以後、逆コラッツ計算と呼称)とで
 重要な違いが現れます。
 コラッツの場合はX値が奇数か偶数かによって計算式が一意的に決め
 られますが、逆コラッツの計算式はX値によっては決められません。
 したがって、コラッツの計算は数値の並びが1本道なのに対し、逆コラッツ
 はstepが進むにつれて分岐が増えていきます。
 また偶数処理は2Xなので全てのX値についてできますが、奇数処理はX
 値によっては計算値が整数にならない場合があります。これは前stepで
 コラッツの計算できる奇数値がないことを示しています。

 つぎは逆コラッツの計算を行なうことにより現れる数値の動きを調査した
 ものです。
 計算が効率良く進むよう、スタートの数を逆方向計算step(-3)に相当する
 8としています。そこから、逆方向計算による数値の並びをstep(-15)まで
 表します。
 計算は偶数の並びをベースとして、step(-15)からstep(-4)に向けて少し
 ずつ奇数計算を増やしていきます。

 ここから、一部step(-20)まで計算します。

 ここで注目すべきは、最後の2つの数値パターンです。□で囲んだ数
 3と9はいずれも3の倍数ですが、その先の逆コラッツ計算では偶数しか
 発生していません。

 

 

コラッツ予想-18

 コラッツ計算図による発散の有無調査

 これからコラッツの計算で1へ収束するかどうかの確認作業に入ります。

 まず、コラッツ予想-2~5で見てきた図に関して、収束、循環、および
 発散可能性について調査を進めます。
 -2~5において、数Xが奇数のとき、係数1、係数3、係数5で異なるのは
 奇数処理で接する直線の傾きでした。
 それらは係数1では(X+1)/2、係数3では(3X+1)/2、係数5では(5X+1)/2

 となっています。その傾きは、係数1で1/2、係数3で3/2、係数5で5/2で
 あり、この傾きが発散パターン発生の可否を決定しているようです。

 つぎの図はコラッツの式の (3X+1)/2 の直線に換えて (3X+X)/2  として
 傾きを 2 にしたものです。
 すると、つぎのように全ての奇数値Xが1回の処理で循環モードに入って
 しまいます。

 奇数Xがこの直線に接するときの値は2Xで偶数、その1/2は奇数Xに戻り
 ます。
 この直線は傾き2 切片0であり、この傾きが奇数Xに対して収束と発散の
 境界となっています。
 計算結果が1に収束するには、奇数処理で接する直線の傾きが2未満で
 ある必要があり、コラッツの式 (3X+1)/2 の傾きは 3/2<2 なのでその
 範囲内にあります。

 

 

コラッツ予想-17

 コラッツの計算で現れる数値関係(2)

 2進法計算による数値パターン 

 ここでは奇数→奇数のフローに入る数のグループはどのようなものか
 2進法による計算を行い、調査を進めます。
 奇数値Xを2進法で表すことにより、奇数処理の連続step数を知ること
 ができます。ここでの2進法計算要領はつぎのようになります。

 奇数計算の要領は上の計算例からもわかるように、下位から連続して
 1が続いているとき、その最上位の1の桁に1を立て、その上位の数の
 並びを1桁下位にずらして加える数を作ります。
 いくつかの計算例をつぎに示します。 加える数は□枠の下に表示して
 います。

 X=23 以上については連続奇数処理後偶数が発生するまでを表示
 しています。

 X=23の事例では1100(0は不表示)が加える数となります。これを
 合計した値がstep1の数字として、□枠の100011となっています。
 この操作を最下位桁が0になるまで繰り返します。
 上の計算事例はすべてこの要領で行なったものです。
 奇数値は1桁目が1で、その上位桁に連続して何個の1が立っているか
 が、連続奇数処理数を示しています。
 たとえば、79 は連続して4個の1が立っているので、奇数処理を続けて
 4step行なう必要があります。
 また、2の6乗-1の 63 と2の7乗-1の 127 について、各step対応で
 2進数の並びの変化を調べた結果、つぎのような関係が見られました。

  ①step9まで 63 の数の並びと、127 の2の1乗以上の数の並びが同じ
  ②127 のstep10で、63 のstep9の数に一致する

 このように、コラッツ計算の変化パターンは2の累乗に深く関わって繰り
 返されていることがわかります。

 

 

コラッツ予想-16

 コラッツの計算で現れる数値関係(1)

 ここから発散の有無について見ていかなければなりませんが、その前に
 コラッツの計算で現れてくるいろいろな数の関係をしばらく見ていくことで、
 その精妙さと奥深さを味わってみたいと思います。

 コラッツの計算による数値変化は、つぎのように各stepでの計算結果が
 奇数か偶数かによって次のstepの計算式が分岐していくことにより引き
 起こされます。 

 

 この数値変化フローのstep2に注目すると、整数Xは4つの計算式に分
 かれて処理されています。このうち、奇数→奇数 の計算式以外の3つの
 式の計算値は元の値Xより小さい値になります。
 コラッツ計算を小さい値から順番に計算してきているので、この3つの値
 はすでに計算済みの値です。
 したがって残りの1つのグループ、step2までに奇数→奇数のフローに
 入り それ以降も奇数が続く数のグループの動きを調査します。

 整数X=1,2,3,4,・・・ についてコラッツの計算を行なって、結果が偶数
 になったらstopするというルールで数値関係を図にまとめました。
 図は、縦方向に整数X=1,2,3,・・・横方向にstep1,2,3,・・・ と配置して、
 偶数値が現れるstep数が等しいX値 の間隔を縦に 、計算値の変化量
 を横に表しています。

 

 数値変化の値は、縦横両方向ともに規則的に整然と配置されています。
 縦方向にはstep数に応じて3の累乗が加算され、横方向にはstep1で
 (X+1)/2が加算され、加算数が偶数なら次のstepへそれに3/2を掛け
 た数が加算されていきます。