徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

数の風景-40

 xをeのt乗で表す

 数の風景-10で、実数の複数回平方根をとるたびに別種の虚数記号が増え
 ていき収拾がつかなくなるのではと考えました。これについてはあとでじっくり
 考えるとして、とりあえず多くの種類の虚数を封印する方法がないかどうか考え
 てみます。 まず、数Xをeの指数で表すことで、2乗の繰り返しと平方根の繰り
 返しを行ってみて、この問題がどうなるか見てみます。

 

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 やはり同じように別種の虚数マークが際限なく増えていきます。
 考えてみれば当前のことで、Xを単にeの指数に切り替えただけでは実数aと同じ
 ようにeの前にいろいろな虚数マークが現れてくるだけです。

 この問題の解決には「オイラーの公式」に頼らざるをえないのではないでしょうか。
 実数Xまたはそれを含む複素数をeの指数に変換した後、「eも含めてまるごと」
 平方根をとるのではなく、その平方根を「eの指数に対して」とることにより、計算
 結果もeの指数の世界に留まらせようとするのです。また、ド・モアブルの定理も
 eの指数の計算の範疇に入ると考えます。

 

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数の風景-39

 閑話休題(1)

 今回は一休みです。
 ここで実数と虚数、+と-について私のイメージを描写してみます。
 ここには私の独断と偏見が充満していることをお断りしておきます。

 それは真っ直ぐな1本道をてくてくと歩いている自分がいて、前には
 これから近づいてきて自分の足元に来る道、後ろには通り過ぎて遠
 ざかっていく道が続いているような世界です。
 数の世界ではこれから通る道が+の数、通り過ぎてきた道が-の数、
 そして左右に見える景色は虚数iの世界です。-や虚数iの世界はこれ
 から実現することはできない世界です。
 実は道は1本でなくてもよく、地平線まで広がる大草原でもいいのです。
 今ここを歩いている自分が向かっている正面の一直線が+です。
 そして後ろの正面から伸びる一直線が-です。常に自分の足元が0で
 線の手前が小さい数、先の方が大きい数になります。そしていつも左右
 の景色は i の世界です。右の一直線が-i の世界、左の一直線が+i
 の世界となります。

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 通り過ぎてきたところが恋しくなって引き返し始めた瞬間にその道は+
 となり、これまでの+の道は-の世界への道となるでしょう。
 そしてたどりついた元のところは、自分が通り過ぎてきたのは確かだけれ
 ど、それは隔絶された過去の世界の出来事であり、現在に引き戻すこと
 はできません。
 -の世界と同様、±i の世界もこのままでは実現できません。右の景色に
 惹かれて右へ向かい始めた瞬間、その景色は+の世界となり、そこへの
 道は+の道となります。
 じっとしてただ周りを見回しているだけでは過去の情報が景色となって
 目に入ってくるだけです。いわば四方を過去(-)に取り囲まれている
 ような状況です。じっと立ち止まっているのではなく動き出すことで+の
 世界が開けてくるでしょう。

 

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数の風景-38

 (cosθ+i sinθ)の2乗= cos2θ+i sin2θ の確認(2)


 今回は(cosθ+i sinθ)の2乗の虚数部がsin2θになることを
 前回表示した図に基づいて確かめます。

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 このようにして(cosθ+i sinθ)の2乗の虚数部がsin2θになる
 ことが確認されました。

 以上、長々と見てきましたが、これはつぎの「三角関数の加法定理」
 において、α=β=θとおいた場合に相当します。

  加法定理   sin(α+β)=sinαcosβ+sinβcosα
         cos(α+β)=cosαcosβ-sinαsinβ

 こう見てくると、オイラーの公式やド・モアブルの定理は、三角関数
 加法定理をうまく使って複素数の表示や数値計算体系を構築している
 とも見えます。

 

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数の風景-37

 (cosθ+i sinθ)の2乗= cos2θ+i sin2θ の確認(1)


 前回に続いて(cosθ+i sinθ)の2乗が cos2θ+i sin2θとなる

 ことを確認していきます。確認作業はつぎの図を基に進めていきます。

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 ここではまず実数部について見ていきます。

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 このようにして(cosθ+i sinθ)の2乗の実数部がcos2θになることが
 確認されました。

 

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数の風景-36

 オイラーの公式

 e と Θ を見てきたので、この二つが出てくる式を見てみます。やはりここは
 有名な「オイラーの公式」の出番でしょう。

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 ド・モアブルの定理とはつぎのようなものですね。

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 オイラーの公式導出の詳しい過程は「オイラー入門」(W.ダンハム(著))
 などで紹介されています。

 ド・モアブルの定理から(cosθ+i sinθ)の2乗は cos2θ+i sin2θ
 となることが分かります。ここでは(cosθ+i sinθ)の2乗の展開式と
 図解とを用いてこれを確認していきます。

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 2乗の展開式は上のようになりますが、この実数部がcos2θに、虚数部が
 sin2θになるかどうか次回から見ていきたいと思います。

 

 

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数の風景-35

 微小三角形を素にして円周と円の面積を求める

  前回、「πの素」の模式図を書いてみましたが、これから直ちに円周と円の
 面積が求められます。ここでは半径を r として計算します。

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 このように見てくると、実数の世界のすべては直線上に詰まっているような
 気がしてきます。そしてsinΘ、cosΘの対は実数の数直線から外れる数を
 表しており、sinΘは外れ成分の数の大きさ、cosΘは実数の数直線上に
 垂直に投影される成分の数の大きさを表しているように思えてきます。

 

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数の風景-34

 分割数を∞に近づけていくと πの素 はどうなる(2)

 ここでは「∞に近づけたn値」のことを「n→∞」と表現します。
 数の風景-32 で分割数が増えるにつれて πの素(Π) の値がどんどん小さく
 なっていくのを見てきました。そして分割数n→∞の極限状態では0になっている
 かもしれません。
 しかしここでちょっと考えてみてください。半径1の長さをn→∞分割するとやはり
 0に近づいていきますが、その分割された小さな1辺に同じn→∞を掛ければ
 結果は1になるのは明白です。とすると分割数n→∞で極限状態の0になって
 いるはずの πの素 は厳密には0ではないのではないかという疑問が生まれて
 きます。というのも、このπのn→∞分割値(πの素)をn→∞倍すればπという
 値になるからです。
 そこで前回見てきた、「角度Θを限りなく0に近づけていくと、sinΘはΘに

 どんどん近づいていき、ついにはΘに等しくなっていく」という結論の出番です。
 私はこの結論は「条件付きで正しい」と考えます。πをn→∞分割した1辺をn→∞
 倍すればπの長さになります。図で表せばつぎのようになります。

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 図でΘのn→∞分割のn→∞倍と、半径1のn→∞分割のn→∞倍を表してみま
 した。たしかにπは半径のπ倍の長さになっています。しかし円弧にはなってい
 ません。
 私は円弧を本当に再現させるための本当の「πの素」は、sinΘのn→∞分の1
 でなければならないし、いくら分割してもsinΘはΘにはならないと考えます。 
 専門的にいえば、「Θ→0でsinΘ→Θ」はスカラー(数だけの世界)では正し

 く、ベクトル(数だけでなく位相・方向も含む世界)では正しくないということ

 でしょうか。
 結局、極限の「πの素」の正体は目に見えるものではありませんが、下の模式図
 のように表される微小三角形ではないでしょうか。

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