徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

数の風景-143

閑話休題(6)

 ここまで、オイラーの素晴らしい贈り物 「オイラーの公式」 を頼りに、
 数に関わるいろいろな試みを行ってきました。

 つくづく思うのは、真偽を超えて数の世界のeと物理の世界のcとの
 類似性です。eは自然対数の底、cは光速です。
 eに対して素数密度、cに対して経過時間を考えるとその類似性が
 一層際立ってくるようです。
 果たしてつぎのように比べられるものかどうか、かなり怪しいですが、
 とりあえず比較してみました。

 eに対する素数密度(ここまで素数個数比率ξと称していました)と、
 光速cに対する経過時間の関係とはまるで同じ関係であるかのよう
 に類似しています。
 この類似性から、宇宙空間の時間の流れを数の世界の素数密度関数に
 なぞらえて計算してみると、上記のように t=1のとき、経過
 時間は±∞になります。 相対性理論によれば、光速cの世界では
 時間は止まり、単位距離を進むのに要する経過時間は∞になるとの
 ことですが、それとよく符合しています。
 t=2のときはcの2乗になり、この辺りでは単位距離当りの経過
 時間は1になります。
 ここで、eの指数xが 2≦x≦4.5、cの指数tが 2≦t≦3.8 の範囲で
 グラフに表してみます。

 上で見たようにt=2のときはcの2乗になり 光の到達距離で約
 10光年の世界です。この辺りでは単位距離当りの経過時間は1に
 なり、光の広がりは、そのまま空間を1対1で写します。
 さらに妄想を逞しくして、138億光年の彼方まで計算してみます。
 ここでの計算では、138億光年の彼方は 光の到達時間にして 
 約4.35x(10の17乗)s、距離にして約1.3×(10の26乗)m
 になります。 そうすると、宇宙の最遠点付近では 単位距離当りの
 経過時間はほぼ1/2近くになります。

 これは宇宙の最遠点付近を見るとき、同じ距離を進むのに半分
 ほどの所要時間しかからない、言い換えれば遠ざかるほど速度が
 速く見えることになり、なんだか宇宙膨張説にも符合しているように
 見えてきます。
 このように見てくると、数の世界の深遠さは宇宙の深遠さに通じて
 いるかのようにさえ思えてきます。 

 


 これで「数の風景」を終了します。