閑話休題(6)
ここまで、オイラーの素晴らしい贈り物 「オイラーの公式」 を頼りに、
数に関わるいろいろな試みを行ってきました。
つくづく思うのは、真偽を超えて数の世界のeと物理の世界のcとの
類似性です。eは自然対数の底、cは光速です。
eに対して素数密度、cに対して経過時間を考えるとその類似性が
一層際立ってくるようです。
果たしてつぎのように比べられるものかどうか、かなり怪しいですが、
とりあえず比較してみました。
eに対する素数密度(ここまで素数個数比率ξと称していました)と、
光速cに対する経過時間の関係とはまるで同じ関係であるかのよう
に類似しています。
この類似性から、宇宙空間の時間の流れを数の世界の素数密度関数に
なぞらえて計算してみると、上記のように t=1のとき、経過
時間は±∞になります。 相対性理論によれば、光速cの世界では
時間は止まり、単位距離を進むのに要する経過時間は∞になるとの
ことですが、それとよく符合しています。
t=2のときはcの2乗になり、この辺りでは単位距離当りの経過
時間は1になります。
ここで、eの指数xが 2≦x≦4.5、cの指数tが 2≦t≦3.8 の範囲で
グラフに表してみます。
上で見たようにt=2のときはcの2乗になり 光の到達距離で約
10光年の世界です。この辺りでは単位距離当りの経過時間は1に
なり、光の広がりは、そのまま空間を1対1で写します。
さらに妄想を逞しくして、138億光年の彼方まで計算してみます。
ここでの計算では、138億光年の彼方は 光の到達時間にして
約4.35x(10の17乗)s、距離にして約1.3×(10の26乗)m
になります。 そうすると、宇宙の最遠点付近では 単位距離当りの
経過時間はほぼ1/2近くになります。
これは宇宙の最遠点付近を見るとき、同じ距離を進むのに半分
ほどの所要時間しかからない、言い換えれば遠ざかるほど速度が
速く見えることになり、なんだか宇宙膨張説にも符合しているように
見えてきます。
このように見てくると、数の世界の深遠さは宇宙の深遠さに通じて
いるかのようにさえ思えてきます。
これで「数の風景」を終了します。