徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

コラッツ予想-28

数のグループを考慮した期待値の見直し(2)

 前回の期待値計算式での数値計算結果では約 0.6 になりました。 その
 理由は G1~G3 を1単位としてコラッツの計算を見たときに、分母となる
 step(-1) の4個の数のうち3個が偶数、残り1個が奇数であることにあり
 ます。
 分子は偶数の 1/2 の数3個と奇数の 3/2倍+1/2 の数1個になるので
 計算結果は明らかに1未満になります。
 分母に奇数処理できる奇数値が1個しか存在しない理由は-23,27で
 見たとおりです。
 このような理由から、コラッツの計算において発生する奇数は奇数全体
 のほぼ 1/3 となります。

 つぎの表は、P値 (P=1,2,3,・・・)を使い、整数Xをグループ1,2,3に分けて
 数値、発生率、期待値をP値で計算、表示したものです。

 ここで期待値について、P値単位でグループ1,2,3を1packにしてつぎの
 ように X値/step(-1)  の値をP→∞について求めます。

 数式による計算結果は、前回数値計算結果に一致しました。このように、
 コラッツの計算による数値の動きは全体として小さい値に向かって収束
 していくことが計算式によっても確認されました。

 

 

コラッツ予想-27

 数のグループを考慮した期待値の見直し(1)

 ここまでの結果をもとに数グループを考慮した期待値の見直しを行います。
 現stepのX値を3つのグループ(G1,G2,G3)ごとに1つにまとめ、その

 1単位ごとにコラッツの計算前後で現れる期待値の計算を行います。
 現stepのX値1単位とそれに対応する1step前の数とを計算し、比の値を
 つぎのように計算します。

 ここで分子の G1,G2,G3 は グループ1,2,3の値で、つぎのようになります。
         G1=3P-2  G2=3P-1  G3=3P
 分母は -23で表示した step(-1) の式になります。
 上の式で分子にG2を2個加算している理由は、グループ1,3は1step前の
 値と処理後の値が1対1の関係ですが、グループ2は1step前の値が偶数
 値,奇数値の2つなので処理後の値G2も2つになるからです。

 下表は1≦X≦60の範囲でG1~G3 を1単位として処理前後の比率を計算
 しています。 各単位はP値で表されます。
 各P値に対応して X値/step(-1) を次の式で計算して表しています。
 この数値は、P値単位で、(コラッツ計算後の値)/(1step前の値) を計算した
 もので、各Pに対応する(G1+G2+G3)の期待値が1step前の値に対してどれ
 だけの比率になるのかを見るものです。

 期待値の計算結果は全て約 0.6 であり、すべてのP値単位において小さい
 値に収束していくことが確認されました。
 グループ1,3に奇数処理がない理由は-22以降何度も触れてきたように、
 これらのグループは逆コラッツの処理で奇数値が発生しない、逆にいえば
 コラッツの計算では奇数処理からはグループ1,3の数は発生しないため
 です。 逆コラッツの計算式からもその理由がわかります。

 つぎに、もっと大きな値ではどうなるのか確認のため X=1000 と 1000000
 付近で見てみます。

 X値が大きくなるにしたがい、期待値は 0.6 に更に近づいていきます。

 

 

コラッツ予想-26

 順方向でのグループ間移動確認

 ここまで逆向き計算から処理前後の数のグループ間移動の調査につない
 できましたが、この動きはコラッツの計算から直接確かめることもできます。

 前に-6で係数1,3,5の関係を整理しましたが、この関係を整理すれば

 つぎのようになります。

 ここで (x1),(x3),(x5) は係数1,3,5の計算式を表しています。
 つぎは奇数値Xを X=2P-1 (P=1,2,3,・・・)として、係数1,3,5 について
 奇数値処理結果をPで表したものです。

 係数3のコラッツの計算後は全てグループ2の数 3P-1 になることが確認
 されました。
 一方、係数1の計算後は全ての正の整数 P、係数5では 3,8,13,・・・ と
 5つとばしの数 5P-2 になっています。
 つぎはX≦99の範囲で奇数値計算を行なった表です。

 このように数Xが奇数の場合、コラッツの計算では全てグループ2の数に
 なりますが、係数1と5の場合は計算後グループ1~3の数が満遍なく現れ
 ます。

 

 

コラッツ予想-25

 処理前後の数のグループ間移動(3)

 前回まではpeak値を中心に見てきましたが、それらは全て偶数です。
 そこで今回は、奇数値を中心に数のグループ間移動の様子を調査します。
 前回の28個のpeak値を起点に、1に到るまでの数値変化の中に発生する
 奇数を見ます。

 この表で、peak後初めて現れるグループ2の奇数は 5,11,17,23,29 の
 5つに絞り込まれていき、その5つのパターンの1つで1に向かっています。

 参考までに、範囲1≦X≦60 からスタートする奇数のうち、peak値 4616に
 向かうX値は 27,31,41,47,55 の5つで、特定の数グループへの偏りは
 見られません。

 



 

コラッツ予想-24

 処理前後の数のグループ間移動(2)

 各整数についてコラッツの計算を行なっていくと、一連の計算の中では
 同じ数は1回しか現れないけれども、計算の途中で他の整数の計算値と
 同じ並びになってしまいます。
 また、それらは限られた数の並びに集約されているように見えます。
 それを具体的数値で確かめてみます。
 つぎの表はコラッツの計算において現れるpeak値とその発生数を計算
 スタートのX値 1≦X≦60 の範囲について表示したものです。

 この結果、60個の整数のうち、コラッツの計算でpeak値の数は28個あり、
 同じpeak値以降は同じ数の並びになります。
 前々回からの数のグループ分けに従えば、28個のpeak値のうち、つぎの
 ようにグループ別では グループ2が最も多くなっています。
       グループ1 ・・・ peak値  8
       グループ2 ・・・ peak値 15
       グループ3 ・・・ peak値  5
 よく見ると、コラッツ計算でのpeak値がグループ1と3の数はスタートの
 X値がpeakとなっており、グループ2のpeak値だけがスタートのX値より
 大きな値を含んでいます。
 また、スタートのX値のうち80%超がグループ2のpeak値を持つこと、
 複数のX値が同じグループ2のpeak値を持つこと、などが見て取れます。

 

 

コラッツ予想-23

 処理前後の数のグループ間移動(1)

 期待値計算では収束が確認されないのに、なぜ計算の結果は全て1に
 収束するのかという疑問を解き明かすために、追究を続けます。
 現在stepの数値Xに対して、コラッツの計算によってその1step前後に
 発生する数のグループ間移動の様子を見ることで、理解を深めることが
 できるようです。
 つぎの表は現在step の値Xをグループ1,2,3に分けたとき、その前後の
 数値はどうなるかを計算したものです。

 上表において、step(-1)はコラッツの計算において整数Xの1つ前の値
 です。

 各グループの数のコラッツ計算での動きはつぎのようにまとめられます。

 ・グループ1 全てグループ2へ移動する
 ・グループ2 奇数処理でグループ2に留まる
         偶数処理でグループ1へ移動する
 ・グループ3 奇数処理でグループ2へ移動する
         偶数処理でグループ3に留まる

 以上から判るように、グループ1と3の数Xには偶数処理からしか移る
 ことができず、奇数処理結果は全てグループ2の数Xになります。
 またグループ3の偶数処理で発生した奇数はグループ3になりますが、
 つぎのstepで奇数処理によりグループ2に移動します。
 その流れを X≦60 の範囲で数値確認してみます。

 このようにコラッツの計算により全体としてグループ2の数に集中していく
 流れになっています。

 コラッツ予想-3で、計算図に垂直の赤線がない偶数(6,12,18,24,・・・) 
 が存在するのはなぜか疑問が生まれましたが、つぎの2点の理由により、
 奇数値処理スタートからの数値移動を表すその図には現れないからである
 ことがわかりました。

 処理前後の「数値のグループ間移動」
  ① 奇数処理からはグループ3の数は発生しない
  ② 奇数処理でグループ2に移った数は、その後の処理で
    グループ1と2との間の数値移動となる

 

 



コラッツ予想-22

 整数Xをグループ分けして調査

 前々回 逆コラッツの計算で得た①~⑥の結果を数値計算で確認して
 いきます。
 ここからは整数Xをつぎのようにグループ1~3に区分して調査します。

 P=1,2,3,4,5,・・・ とするとき、数Xを

   グループ1 X=3P-2
   グループ2 X=3P-1
   グループ3 X=3P

 と区分する
 
 X≦100 の整数について、逆コラッツの計算を1つの分岐も漏らさない
 よう step(-3) まで行なった結果を表にしました。

 

 表の見方は、整数Xに対して逆コラッツ計算step(-1)は偶数処理 2X 、
 奇数処理 (2X-1)/3 をしており、step(-2)、step(-3) の値に対しても
 同様の処理をしています。
 この表から①~⑥を支持するつぎの3つの重要な知見が得られます。

  1) グレーのマスクをしているのは、整数でない値になった処理結果
   を表している
   非整数は1step前に処理される整数値が存在しないことを示して
   おり、1度非整数が現れたらそれ以前にも整数は現れない
  2) 最下欄に集計しているように、発生する整数のうち偶数と奇数の比
    偶数:奇数 は step(-1)、step(-2)、step(-3)共にほぼ 3:1 である
  3) 1以上の全ての整数である現在の整数Xに対応してstep(-1)から
   全ての奇数と偶数とが現れることが確認できる
   よって全ての整数Xに対応して1step前に全ての整数が存在する

 3)項に関して、逆コラッツの計算では現在値Xを1ずつ増加していくとき
 step(-1)では偶数値が先行して現れ、奇数値が遅れて現れます。