徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

数の風景-66

 素数の正体は (3)

 ここまで素数について考えてきたことをまとめてみます。
 まず、正の整数Xに含まれる素数個数の推定式を X/( log X - 1)
 として、この式から素数個数のイメージを描いてみます。

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 ここで、X=10 から X=10000 までのいくつかの数について
 つぎのような手順に従って素数個数を計算してみます。

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 下線が引かれた数値は、数の風景-64で見てきた素数個数比率
 です。底を X/e として e の対数を計算した値で、X値が大きくなる
 ほど、その値は小さくなります。
 上の模式図では“ξ”で表されているもので、ξ=1/( log×- 1)
 の関係から、log X は log X =1+1/ξ となります。
 私はこの ξ=素数個数比率 が「素数の素」とでも言うべき値だろう
 と考えています。
 いくつかのX値について、この値がどのように変化していくかを見て
 みましょう。

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 繰り返しになりますが、これは整数Xの中に、X以下の素数が含まれ
 る割合を示すグラフになっています。 そしてこのX倍が素数個数に
 なります。

 

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数の風景-65

 素数の正体は (2)

 ここまで見てきた中で (logX-1) の形の式が意外なところに顔を出して
 います。
 それをつぎに整理してみます。

         <素数個数関数>     <直交座標系> <微積分連鎖>
   1次元   X/(logX-1)    X   X(logX-1)
  基底次元                1     logX

 こう並べて1次元で比べてみると、<素数個数関数> と <微積分連鎖>
 の積は <直交座標系> のXの2乗に等しいことが分かります。
 これをいくつかの整数 X について計算してみます。

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 このうち、X≦20の範囲で1刻みで計算、X≦10の範囲でグラフ表示して
 みます。

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 ここで<素数個数関数>に換えて、前回見た<素数個数比率>として
 整理しなおしてみます。

         <素数個数比率> <直交座標系> <微積分連鎖>
   1次元  1/(logX-1)   X    X(logX-1)
  基底次元              1      logX

 1次元で比べてみると、<素数個数比率> と <微積分連鎖> の積は
 <直交座標系> のXに等しくなることが分かります。
 見方を変えれば、<直交座標系>を <微積分連鎖>で割った値が
 <素数個数比率>になります。
 この関係をX≦10の範囲でグラフ表示してみます。 

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数の風景-64

 素数の正体は (1)

 ここまで素数の累積個数についてあれこれ見てきたけれど、肝心の素数
 正体については迫ることができていません。もっとよく理解することはできない
 でしょうか。
 前々回、素数個数推定値を P(n)として、P(n) = n/( log n - 1)

 を見てきました。
 私はこの式を簡単に見過ごすことができません。もっとじっくり見てみたいと
 思います。
 ここからは自然数 n を正の整数×に置き換えて、P(×) = ×/( log×- 1)
 を素数個数関数として見ていきたいと思います。
 この式は整数×に1/( log×-1)を掛けた形です。つまり1/( log×-1)

 は整数×に対する「×以下の素数個数の比率」を示す値ということになります。
 素数個数比率 1/( log×--1)は、底を(×/e )としてつぎのように書き表さ
 れます。

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 このように見てくると、素数自然対数の底 e と密接に関わって存在している
 ことは間違いないようです。

 

 

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数の風景-63

 素数の近似式(4)

 
 前回、自然数nまでの素数個数の推定値をP(n)として

       P(n) = n/( log n - 1)

 について見てきました。しかし、これは究極の推定式ではないような気も
 します。そこで、誤差を小さくするべく試行錯誤の末、つぎの式にたどり
 着きました。

       P(n) =n/(log n - ( 1+1/(log n -1)))

 この式で計算してみました。

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 結果は前回の計算結果と大差ないように見えます。しかしよく見るとつぎ
 のような違いが判ります。
  今回の計算結果の方が前回結果より
  ① nが小さい領域での誤差が大きい
  ② 誤差が+から-に変わる点のn値が大きい
  ③ nが大きい領域での誤差が小さい
 などです。
 私は、この式はつぎのように無限に拡張できるのではないだろうか、と考え
 ています。
    P(n) =n/(log n - ( 1+1/(log n -(1+1/(log n -(1+1/(log n  ・・・ ))))

 そして拡張するたびに、上の①~③の傾向も引き続き現れるのではと推測
 しています。
 これは詳しく調べているわけではないので、あくまでも予想です。間違って
 いるかもしれません・・・

 

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数の風景-62

 素数の近似式(3)


 素数の近似式として取り上げた nの(2/e)乗 は自然数nが1000を
 超える領域では誤差が急激に拡大してしまうという、致命的な欠陥が
 みつかりました。そこでもっと大きいnの領域でも精度の良い近似式は
 ないか検討してみるべく、素数定理の式にたち返って探してみました。
 その結果、素数定理の式と類似のつぎの式に到達しました。
 自然数nまでの素数累計推定値をP(n)とすると

       P(n) = n/(log n - 1)

 この式は理論的に導き出したものではなく、実測値 π(n) に基づいて
 出しました。
 素数定理より、n/log n ~ π(n) だから、logn ~ n/π(n) の
 関係にあります。 (注)「~」 は 「近似」を表す
 そこで、n≦1000の範囲で n/π(n) と log n の値を見てみます。
 ちなみにπ(n)値の出典は「素数に憑かれた人たち」です。

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 つぎにn≧1000の範囲で見てみます。

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 数字をよく見ると、自然数 n が大きくなるにつれ、その対数 log n と
  n/π(n) とが  log n - n/π(n) ~ 1 なる関係に近づくようです。 
 そこで上の各nについて log n - n/π(n) を計算してみました。

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 素数個数π(n)の推定値をP(n)とおいて、 log n - n/P(n) = 1 
 から P(n) が求められました。

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 結果は自然数n>200ではまずまずの精度になりました。グラフで
 誤差率を見るとつぎのようになります。

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 (注)
 これはフランスの数学者ルジャンドルが1800年頃に発表した「数論」
 の中に   π(x) ~ x/( log x - A)
 と記されているそうです。 Aは定数で、ルジャンドルが与えた値は
  A = 1.08366 だそうです。
 「素数に憑かれた人たち」でも触れられていまますが、「明解 ゼータ
 関数とリーマン予想」(ハロルド・M・エドワース著) の中で紹介され、
 詳しく解説されています。 著者によると定数Aの値は上の値でなけ
 ればならない必然性はないとのことです。

 どうも私は200年ほど昔の世界をさ迷っていたことにやっと気付き
 ました (笑)

 

 

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数の風景-61

 素数の近似式(2)

 前回、素数の近似式として、nの(2/e)乗なる式を見てみました。実は
 この式は自然数nが1000を超える領域では誤差が急激に拡大してしま
 うことが判明しました。

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 n<1000の領域ではかなり良い近似になっています。しかしそれから
 先が問題で、nが10の4乗では誤差は-28.6%、nが10の6乗では
 -91.7%にもなります。そしてそれ以上の領域では実測値の1%にも
 満たなくなってしまいます。ということで残念な結果になってしまいました。
 それにしても、この式がn<1000の領域でそこそこ良い素数の近似に
 なっている理由は何なのでしょうか。ただの偶然なのでしょうか。

 

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数の風景-60

 素数の近似式(1)

 前回までに素数定理の2つの計算、X/logX と Li(x) から計算した値
 は n<1000 の範囲ではカウントした値 π(n)に比べて数%~10%
 程度離れた値になっています。10の6乗を超える数の領域ではその
 誤差は数%以下に縮小していくようですが0にはならないようです。
 そこでもっと実際の素数の増え方に近い数式はないだろうかと探して
 いたところ、ありました。それはつぎのような式です。

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 計算結果と結果のグラフはつぎのようになります。比較のために素数
 定理 (n/log n ) の数値も表示しています。
 nの(2/e)乗の計算結果は素数累計の実測値π(n)とn<1000の領域

 で良 く合っています。誤差はn=100で+18.4%とちょっと大きいですが、
 n=640~645あたりで実測値π(n)と交差しており、n=1000では
 -4.1%になります。

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