素数の近似式(3)
素数の近似式として取り上げた nの(2/e)乗 は自然数nが1000を
超える領域では誤差が急激に拡大してしまうという、致命的な欠陥が
みつかりました。そこでもっと大きいnの領域でも精度の良い近似式は
ないか検討してみるべく、素数定理の式にたち返って探してみました。
その結果、素数定理の式と類似のつぎの式に到達しました。
自然数nまでの素数累計推定値をP(n)とすると
P(n) = n/(log n - 1)
この式は理論的に導き出したものではなく、実測値 π(n) に基づいて
出しました。
素数定理より、n/log n ~ π(n) だから、logn ~ n/π(n) の
関係にあります。 (注)「~」 は 「近似」を表す
そこで、n≦1000の範囲で n/π(n) と log n の値を見てみます。
ちなみにπ(n)値の出典は「素数に憑かれた人たち」です。
つぎにn≧1000の範囲で見てみます。
数字をよく見ると、自然数 n が大きくなるにつれ、その対数 log n と
n/π(n) とが log n - n/π(n) ~ 1 なる関係に近づくようです。
そこで上の各nについて log n - n/π(n) を計算してみました。
素数個数π(n)の推定値をP(n)とおいて、 log n - n/P(n) = 1
から P(n) が求められました。
結果は自然数n>200ではまずまずの精度になりました。グラフで
誤差率を見るとつぎのようになります。
(注)
これはフランスの数学者ルジャンドルが1800年頃に発表した「数論」
の中に π(x) ~ x/( log x - A)
と記されているそうです。 Aは定数で、ルジャンドルが与えた値は
A = 1.08366 だそうです。
「素数に憑かれた人たち」でも触れられていまますが、「明解 ゼータ
関数とリーマン予想」(ハロルド・M・エドワース著) の中で紹介され、
詳しく解説されています。 著者によると定数Aの値は上の値でなけ
ればならない必然性はないとのことです。
どうも私は200年ほど昔の世界をさ迷っていたことにやっと気付き
ました (笑)