徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

数の風景-59

 素数定理(2)

 ここで前回とは別の方面から Li(x) の値を計算してみます。 logX の
  log を計算するという方法で計算してみます。

f:id:shurrow2005:20190427175545j:plain

 この計算式に基づいて計算してみました。

f:id:shurrow2005:20190427175837j:plain

f:id:shurrow2005:20190427175940j:plain


 ここでの 計算結果は、前回の計算結果よりさらにLi(x) に近い値となり
 ました。

 

f:id:shurrow2005:20190427181652j:plain

 

 

数の風景-58

 素数定理(1)

 素数については数の風景-7で触れていますが、その後も出てきたので
 もう少し詳しく見てみます。
 1,2,3、・・・と数えていく自然数nの中に素数はいかにも気まぐれに存在
 しているように見えますが、その増え方には一定の法則があると考えられ

 素数定理はそこから生まれたもののようです。
 「素数に憑かれた人たち」の著者ジョン・ダービーシャーによると、素数
 理には2通りの表し方があって、1つは X/logX で表され、2つ目はつぎ
 のような「対数積分関数」(以下、Li(x) と表示)でも表されているようです。

f:id:shurrow2005:20190413235548j:plain

 ここで X は正の整数です。自然数nと同じなので、これからしばらく入り乱
 れて出てくるかもしれませんが、基本的に同じ扱いとなります。
 ここで2つの素数定理についてn≦1000の範囲で計算した値をグラフで
 見てみます。

 f:id:shurrow2005:20190413235747j:plain

f:id:shurrow2005:20190414000039j:plain

 ここで Li(x)の値は∑1/logxとして計算しているので、X=1から

 1刻みで計算し、その値を各n値までの合計値で表しています。
 π(n)は素数の実際の累積個数です。 図で X/logX はπ(n)より小さく、
 Li(x)はπ(n)より大きくなっています。 この差は何でしょうか。計算して
 みました。

f:id:shurrow2005:20190414000641j:plain

 f:id:shurrow2005:20190414000502j:plain

 表から素数定理 X/logX に差の値 B を加えた値は、3~4ほど大きい
 けれど、ほぼ Li(x)に近い値になりました。

 

 

f:id:shurrow2005:20190414000842j:plain


 



 

 

数の風景-57

 オイラー定数(3)

 オイラー定数の値については前回計算しました。ここでは刻みをもっと
 小さくして値がどうなるか調べてみます。
 つぎの図は数の刻みの幅を1から 0.5、0.2、0.1 へと順次小さく
 していくことにより、その値がどのように変化していくかを見るものです。
 計算はつぎの式で行いました。

f:id:shurrow2005:20200618181607j:plain

 n=10、n=100の場合についてグラフにしてみました。

f:id:shurrow2005:20190330231624j:plain


 刻みの幅が小さくなるほど、前回図示した緑の線の長さは小さくなって
 いき、ついにはつぎの式にたどり着きます。このとき、緑の線の長さ
 すなわちlogXとの差は0になります。

f:id:shurrow2005:20200618181759j:plain

 整数1を基底とする1刻みの数体系にはオイラー定数が付随してくる
 けれども、logXを基底とする数体系にはその成分が除かれている
 ように思われます。

 

 

f:id:shurrow2005:20190330235759j:plain





 

数の風景-56

 オイラー定数(2)


 前回、オイラー定数にふれましたが、これはどういうものか少し立ち入って
 調べてみます。

f:id:shurrow2005:20190316162612j:plain

 上の式にはΣの項がありますが、この項は 1/1+1/2+1/3+・・・
 という分数の和になっています。これは調和級数と呼ばれている分数和
 です。
 調和級数を1から1/nまで足していく作業を延々n=∞に向かってやって
 いき、そこから log n を引くとオイラー定数が現れます。
 分数の和の関数はなめらかな曲線にはなっていなくて、幅1の階段のよう
 になっています。

f:id:shurrow2005:20190316162907j:plain

 この関数から log n を引いた値がオイラー定数になるようです。グラフで
 表せばつぎのようになります。

f:id:shurrow2005:20190316163021j:plain

 図で 1/n の累計値から log n を引いた値は緑の線の長さで表されます。
 この値の推移を赤の曲線で表しました。 n→∞で究極のγ値、すなわち
 オイラー定数に収束するようです。

 

f:id:shurrow2005:20190316163158j:plain

 

数の風景-55


 オイラー定数(1)

 logXのn階積分関数は「オイラー定数」というものと何か関係があるかも
 しれないという気もしています。
 まずオイラー定数とはどんなものか、見てみましょう。
 f:id:shurrow2005:20190302071708j:plain

 「オイラー入門」(W.ダンハム著)によると、オイラー定数γについて
 「πやeのようにγも数学に出てくるもっとも重要な定数に分類されており、
  オイラーは「とても注目に値するものである」と述べている。πやe のよう
 にγも数学のあらゆるところに思いがけない形で現れてくる」 とあります。
 このオイラー定数を使ってlogXのn階積分関数を表すことができます。
 ただしここではk→∞ではなく、k=nでのγ値(γn と表示 )となります。

f:id:shurrow2005:20190302074721j:plain

 γn 値について、いくつかのnの値で計算してみるとつぎの図のようになり
 ました。

f:id:shurrow2005:20190302072308j:plain

 

 

f:id:shurrow2005:20190302072531j:plain

 

数の風景-54

 微積分の連鎖・・・素数成分との関係について

 基底次元と1次元の関係についてさらに見ていきます。基底次元は1次元
 の構成要素であるとも考えられます。そこで1次元の組み立てを見るために
 基底次元で1次元を割ってみます。

                                <直交座標系>   <微積分連鎖>
     1次元     X     X ( logX - 1 )
    基底次元      1                   logX
  1次元/基底次元    X     X ( 1-1/logX )

 この展開式 は X-X/logX となり、X から X/logX を引いた形になって
 います。 ここに現れる X/logX は 「素数定理(注)」 と呼ばれています。
 (注)
  「素数定理」については「素数に憑かれた人たち」(ジョン・ダービーシャー著)
  の中でも詳しく紹介されています。

 1次元/基底次元の値は、直交座標系で X となるのに対して、微積分連鎖
 では Xに( 1-1/logX )を掛けた形になります。
 実際に10から100までの数についてグラフで確認してみます。青の実線が
 X-X/logXを表しています。

f:id:shurrow2005:20190215230922j:plain

 これは直交座標系の数Xに対して、素数の発生確率 1/logX を除いた値
 に補正している意味があるようです。 これに基底次元の logX を掛けた数
 X(logX-1) が 微積分連鎖の1次元になっています。

 

f:id:shurrow2005:20190215231402j:plain



 

数の風景-53

 

 微積分の連鎖・・・基底次元と1次元

 前回、logX の積分関数に含まれる()内の数式の意味を式が示す挙動
 から探ってみましたが、いまひとつ腑に落ちません。
 とりあえず、元に戻って X と X(logX-1) の値の変化をグラフで比べて
 みることにしましょう。
 微積分連鎖の1次元関数 X(logX-1)については、数の風景49で
 0<X≦10 の範囲を、また前回 0<X≦8 の範囲を見ました。ここでは
 X≧10の範囲で見てみます。y=Xは一直線の増加ですが、X(logX-1)
 は値の増加が大きく、その差はどんどん大きくなっていきます。

f:id:shurrow2005:20190202105323j:plain


 そもそも基底次元が異なっています。比べてみると直交系は 1、微積
 連鎖は logX です。 logX とは何なのか 立ち止まって考えてみれば、

f:id:shurrow2005:20190202105605j:plain

 の?に当たるものが logX ですね。これはつまり、直交座標系の値 X に
 等しくするにはe の?乗でなければならないとき、その値?を logX と表し
 ているわけです。したがって、基底次元が logX であることは、基底次元
 が e の指数であるとも解釈されます。
 ここで直交座標系と微積分連鎖の基底および1次元についてグラフを見て
 みます。

f:id:shurrow2005:20190202105753j:plain

 グラフ中に矢印で書いているように、e の logX 乗をすることで logX から
 直交座標系の1次元 X につなぐこともできます。こうすることで、e の指数
 の世界から直交系へ乗り換えることができるわけです。一方、基底次元の
  logX をそのまま積分していけば e の指数の世界での積分が続いていく
 ことになります。

 

f:id:shurrow2005:20190202110018j:plain