素数定理(2)
ここで前回とは別の方面から Li(x) の値を計算してみます。 logX の
log を計算するという方法で計算してみます。
この計算式に基づいて計算してみました。
ここでの 計算結果は、前回の計算結果よりさらにLi(x) に近い値となり
ました。
素数定理(1)
素数については数の風景-7で触れていますが、その後も出てきたので
もう少し詳しく見てみます。
1,2,3、・・・と数えていく自然数nの中に素数はいかにも気まぐれに存在
しているように見えますが、その増え方には一定の法則があると考えられ
素数定理はそこから生まれたもののようです。
「素数に憑かれた人たち」の著者ジョン・ダービーシャーによると、素数定
理には2通りの表し方があって、1つは X/logX で表され、2つ目はつぎ
のような「対数積分関数」(以下、Li(x) と表示)でも表されているようです。
ここで X は正の整数です。自然数nと同じなので、これからしばらく入り乱
れて出てくるかもしれませんが、基本的に同じ扱いとなります。
ここで2つの素数定理についてn≦1000の範囲で計算した値をグラフで
見てみます。
ここで Li(x)の値は∑1/logxとして計算しているので、X=1から
1刻みで計算し、その値を各n値までの合計値で表しています。
π(n)は素数の実際の累積個数です。 図で X/logX はπ(n)より小さく、
Li(x)はπ(n)より大きくなっています。 この差は何でしょうか。計算して
みました。
表から素数定理 X/logX に差の値 B を加えた値は、3~4ほど大きい
けれど、ほぼ Li(x)に近い値になりました。
オイラー定数(3)
オイラー定数の値については前回計算しました。ここでは刻みをもっと
小さくして値がどうなるか調べてみます。
つぎの図は数の刻みの幅を1から 0.5、0.2、0.1 へと順次小さく
していくことにより、その値がどのように変化していくかを見るものです。
計算はつぎの式で行いました。
n=10、n=100の場合についてグラフにしてみました。
刻みの幅が小さくなるほど、前回図示した緑の線の長さは小さくなって
いき、ついにはつぎの式にたどり着きます。このとき、緑の線の長さ
すなわちlogXとの差は0になります。
整数1を基底とする1刻みの数体系にはオイラー定数が付随してくる
けれども、logXを基底とする数体系にはその成分が除かれている
ように思われます。
オイラー定数(2)
前回、オイラー定数にふれましたが、これはどういうものか少し立ち入って
調べてみます。
上の式にはΣの項がありますが、この項は 1/1+1/2+1/3+・・・
という分数の和になっています。これは調和級数と呼ばれている分数和
です。
調和級数を1から1/nまで足していく作業を延々n=∞に向かってやって
いき、そこから log n を引くとオイラー定数が現れます。
分数の和の関数はなめらかな曲線にはなっていなくて、幅1の階段のよう
になっています。
この関数から log n を引いた値がオイラー定数になるようです。グラフで
表せばつぎのようになります。
図で 1/n の累計値から log n を引いた値は緑の線の長さで表されます。
この値の推移を赤の曲線で表しました。 n→∞で究極のγ値、すなわち
オイラー定数に収束するようです。
オイラー定数(1)
logXのn階積分関数は「オイラー定数」というものと何か関係があるかも
しれないという気もしています。
まずオイラー定数とはどんなものか、見てみましょう。
「オイラー入門」(W.ダンハム著)によると、オイラー定数γについて
「πやeのようにγも数学に出てくるもっとも重要な定数に分類されており、
オイラーは「とても注目に値するものである」と述べている。πやe のよう
にγも数学のあらゆるところに思いがけない形で現れてくる」 とあります。
このオイラー定数を使ってlogXのn階積分関数を表すことができます。
ただしここではk→∞ではなく、k=nでのγ値(γn と表示 )となります。
γn 値について、いくつかのnの値で計算してみるとつぎの図のようになり
ました。
基底次元と1次元の関係についてさらに見ていきます。基底次元は1次元
の構成要素であるとも考えられます。そこで1次元の組み立てを見るために
基底次元で1次元を割ってみます。
<直交座標系> <微積分連鎖>
1次元 X X ( logX - 1 )
基底次元 1 logX
1次元/基底次元 X X ( 1-1/logX )
この展開式 は X-X/logX となり、X から X/logX を引いた形になって
います。 ここに現れる X/logX は 「素数定理(注)」 と呼ばれています。
(注)
「素数定理」については「素数に憑かれた人たち」(ジョン・ダービーシャー著)
の中でも詳しく紹介されています。
1次元/基底次元の値は、直交座標系で X となるのに対して、微積分連鎖
では Xに( 1-1/logX )を掛けた形になります。
実際に10から100までの数についてグラフで確認してみます。青の実線が
X-X/logXを表しています。
これは直交座標系の数Xに対して、素数の発生確率 1/logX を除いた値
に補正している意味があるようです。 これに基底次元の logX を掛けた数
X(logX-1) が 微積分連鎖の1次元になっています。
微積分の連鎖・・・基底次元と1次元
前回、logX の積分関数に含まれる()内の数式の意味を式が示す挙動
から探ってみましたが、いまひとつ腑に落ちません。
とりあえず、元に戻って X と X(logX-1) の値の変化をグラフで比べて
みることにしましょう。
微積分連鎖の1次元関数 X(logX-1)については、数の風景49で
0<X≦10 の範囲を、また前回 0<X≦8 の範囲を見ました。ここでは
X≧10の範囲で見てみます。y=Xは一直線の増加ですが、X(logX-1)
は値の増加が大きく、その差はどんどん大きくなっていきます。
そもそも基底次元が異なっています。比べてみると直交系は 1、微積分
連鎖は logX です。 logX とは何なのか 立ち止まって考えてみれば、
の?に当たるものが logX ですね。これはつまり、直交座標系の値 X に
等しくするにはe の?乗でなければならないとき、その値?を logX と表し
ているわけです。したがって、基底次元が logX であることは、基底次元
が e の指数であるとも解釈されます。
ここで直交座標系と微積分連鎖の基底および1次元についてグラフを見て
みます。
グラフ中に矢印で書いているように、e の logX 乗をすることで logX から
直交座標系の1次元 X につなぐこともできます。こうすることで、e の指数
の世界から直交系へ乗り換えることができるわけです。一方、基底次元の
logX をそのまま積分していけば e の指数の世界での積分が続いていく
ことになります。