徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

数の風景-55


 オイラー定数(1)

 logXのn階積分関数は「オイラー定数」というものと何か関係があるかも
 しれないという気もしています。
 まずオイラー定数とはどんなものか、見てみましょう。
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 「オイラー入門」(W.ダンハム著)によると、オイラー定数γについて
 「πやeのようにγも数学に出てくるもっとも重要な定数に分類されており、
  オイラーは「とても注目に値するものである」と述べている。πやe のよう
 にγも数学のあらゆるところに思いがけない形で現れてくる」 とあります。
 このオイラー定数を使ってlogXのn階積分関数を表すことができます。
 ただしここではk→∞ではなく、k=nでのγ値(γn と表示 )となります。

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 γn 値について、いくつかのnの値で計算してみるとつぎの図のようになり
 ました。

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数の風景-54

 微積分の連鎖・・・素数成分との関係について

 基底次元と1次元の関係についてさらに見ていきます。基底次元は1次元
 の構成要素であるとも考えられます。そこで1次元の組み立てを見るために
 基底次元で1次元を割ってみます。

                                <直交座標系>   <微積分連鎖>
     1次元     X     X ( logX - 1 )
    基底次元      1                   logX
  1次元/基底次元    X     X ( 1-1/logX )

 この展開式 は X-X/logX となり、X から X/logX を引いた形になって
 います。 ここに現れる X/logX は 「素数定理(注)」 と呼ばれています。
 (注)
  「素数定理」については「素数に憑かれた人たち」(ジョン・ダービーシャー著)
  の中でも詳しく紹介されています。

 1次元/基底次元の値は、直交座標系で X となるのに対して、微積分連鎖
 では Xに( 1-1/logX )を掛けた形になります。
 実際に10から100までの数についてグラフで確認してみます。青の実線が
 X-X/logXを表しています。

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 これは直交座標系の数Xに対して、素数の発生確率 1/logX を除いた値
 に補正している意味があるようです。 これに基底次元の logX を掛けた数
 X(logX-1) が 微積分連鎖の1次元になっています。

 

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数の風景-53

 

 微積分の連鎖・・・基底次元と1次元

 前回、logX の積分関数に含まれる()内の数式の意味を式が示す挙動
 から探ってみましたが、いまひとつ腑に落ちません。
 とりあえず、元に戻って X と X(logX-1) の値の変化をグラフで比べて
 みることにしましょう。
 微積分連鎖の1次元関数 X(logX-1)については、数の風景49で
 0<X≦10 の範囲を、また前回 0<X≦8 の範囲を見ました。ここでは
 X≧10の範囲で見てみます。y=Xは一直線の増加ですが、X(logX-1)
 は値の増加が大きく、その差はどんどん大きくなっていきます。

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 そもそも基底次元が異なっています。比べてみると直交系は 1、微積
 連鎖は logX です。 logX とは何なのか 立ち止まって考えてみれば、

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 の?に当たるものが logX ですね。これはつまり、直交座標系の値 X に
 等しくするにはe の?乗でなければならないとき、その値?を logX と表し
 ているわけです。したがって、基底次元が logX であることは、基底次元
 が e の指数であるとも解釈されます。
 ここで直交座標系と微積分連鎖の基底および1次元についてグラフを見て
 みます。

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 グラフ中に矢印で書いているように、e の logX 乗をすることで logX から
 直交座標系の1次元 X につなぐこともできます。こうすることで、e の指数
 の世界から直交系へ乗り換えることができるわけです。一方、基底次元の
  logX をそのまま積分していけば e の指数の世界での積分が続いていく
 ことになります。

 

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数の風景-52

 微積分の連鎖・・・グラフによる確認

 微積分連鎖の関数は、一般に使われている各階の関数に()内の式を掛
 けた形になっています。()内の式をどう解釈したらいいのでしょうか。
 ここでは()内の式が示す挙動について見てみます。式の内容をビジブルに
 つかむため、X値が1≦X≦10、積分階数nが 1≦n≦10 の範囲で()内
 の式をグラフ化してみました。

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つぎに同じX値の範囲で、n階積分関数について5階積分まで見てみました。

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 さらにn階積分関数について X値を 1 を跨いで 0.75 から 5 までの範囲
 で、積分ではlogXの5階積分まで、微分ではlogXの3階微分までの範囲で
 見てみました。

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 積分の関数では1より大きい領域で、微分の関数では1より小さい領域で
 関数の値が大きく変化していきます。
 ここでいくつかのX値をパラメータとして、微積分の階数値を横軸に、その
 変化の様子を見てみます。

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 微積分の階数が増えるにつれてグラフがダイナミックに変化していく様子が
 見られます。

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数の風景-51

 微積分の連鎖

 logX の積分を何度も繰り返しているうちに、()内の-の分数に何らかの
 規則性がありそうなので探してみました。そして積分階数と分数との間に
 つぎのような関係があることが分かりました。

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 この結果、微積分の流れはXのプラスの指数から、logX を挟んで、Xの
 マイナスの指数にまでつながりました。

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 logのn階積分関数が正しいかどうかは、その関数を微分してn-1階の積分
 関数になるかどうかで確かめることができます。

 

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数の風景-50

 logXの積分・・・上位階へ

 前々回にXの1階積分関数 X(logX-1) を導出しました。今回はこれを
 つぎのようにして2階積分関数を求めました。

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 同じ要領で3階積分関数、4階積分関数を求めました。それらの関数は
 つぎのようにまとめられます。

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 これらが問題ないかどうかは上位の階の関数を微分して1階下の関数に
 なるかどうか確かめます。
 試しに前出の、関数 f(x)・g(x) の微分

 f’(x)・g(x)+f(x)・g’(x) と
 なる公式を利用して4階積分関数を微分してみます。

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 4階の式の微分によって1階下の3階の式になることが確かめられました。

 

 

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数の風景-49

 X vs X(logX-1)

 数の風景-26で、Xの0乗からの微分、logX からの積分の辺りで微積分の
 連続性がよく分からなくなっていたので、ここで再度考えてみます。
 前回の検討結果からlogX の積分形は y=1 の積分である y=X に

 (logX-1) を掛けた形になっています。
 Xの1次元といえば、関数 y=X が常識ですが、この微分は y’=1 となり、さら
 にその微分は y’’=0 で、ここで微分の連鎖は途切れてしまいます。
 それに対して関数 y=X(logX-1) は、その微分が y’= logX 、

 さらにその微分が y’’=1/X となり、それ以降も微分は可能です。
 このように、Xの1次元に X(logX-1) を持ってくれば微積分が途切れる

 のを回避できるようです。
 ここで参考までに、y=X と y=X(logX-1) とを グラフに表示して

 みました。

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 y=X と y=X(logX-1)のグラフが交わる点のyとxの値はeの2乗

 すなわち
 y=X=7.389056・・・ となっています。
 また y=X(logX-1) の傾きは X=1 で 0 となり、最下点 y=-1 と

 なります。

 

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