徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

数の風景-76

 多種類の虚数(1)

 数の風景-10で、実数の平方根を複数回とるたびに別種の虚数記号
 が増えていき収拾がつかなくなるのではと考えました。その後いろいろ
 考えあぐねた末に、今ではそのような虚数の存在は無視できないのでは
 ないかと考えるに至りました。それどころか-(マイナス)から i、

 i からその下位の虚数へと連綿と続き、いろいろな虚数を組み合わせた

 虚数まで存在するのではないだろうかと推測しています。
 ここでは平方根をとり続けていく場合について考えます。

 

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 平方根をとるたびに虚数が増えていきますが、この分類ではいくつかの
 虚数記号を組み合わせた虚数も存在します。

 

 

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数の風景-75

 閑話休題(3)

 今回はお休みです。
 宇宙についてのイメージトレーニングとして、いろいろな情報を自分なり
 に整理して「宇宙イメージ」を作ってみました。

 下の図は、宇宙の形や大きさを表しているものではなく、私たちがいる
 現在の宇宙と私たちが観測できる宇宙との関係を光速(単位:光年)に
 よる距離で表した関係図です。なので距離というより時間の関係図です。
 図では現在地の真下に1点だけ座標の中心を描いています。 ここで
 ビッグバンが発生し、138億年後の時空の最先端が破線の現在宇宙
 に当たるとします。

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 私たちが存在している宇宙の現在点は球面(図では円)上に分布する
 時空の最先端にあり、球面上の各点には絶え間ない時間の流れが外
 から内側へ向かって流れ込んでいきます。
 その流れによって宇宙を3次元空間の拡がりとして捉えることができ、
 現在宇宙の一点にいる私たちは、138億年前のビッグバン以後現在
 に至るまでの宇宙の情報を受信できます。それは図に桃の表面のよう
 な形をしている経路を通って届きます。これを観測宇宙と呼びましょう。
 図で見るかぎり、私たちに届く観測宇宙の情報は全宇宙情報ではなく、
 そのほんの一部です。

 図を観測者を中心として書き直せば、つぎのようになるでしょうか。
 現在宇宙の大きさは実際わかるはずもありませんが、少なくともビッグ
 バン当時の宇宙は138億光年彼方の赤の破線になります。

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 地球上から私たちが観る宇宙の景色は、どの方角を見ても数年、数万
 年あるいはそれ以上の遠い過去宇宙で発せられた光や電波を今キャ
 ッチしており、それはつぎの図のように私たちを中心に広がっています。

 

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 宇宙には現在、過去、未来が渾然一体としてある。満天に広がる宇宙の
 景色は、広大な宇宙の全貌を見ているのではなく、その1断面である観
 測宇宙の情報を受け取っている。そしてわれわれが見ることができない
 世界がすぐ隣につながっている。 そういうことも大いにありうるのでは
 ないでしょうか。

 

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数の風景-74

 ζ(ゼータ)関数について

 この関数は1以上の全ての自然数を決まった値sで累乗し、それぞれの
 逆数を足し合わせるものです。 一般にsには複素数以下、全ての数が
 適用されているようです。

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 s=1 の場合は、数の風景-55で見てきたように log∞ にオイラー
 定数γを加えた値になります。

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 s=1 の場合 log∞ は ∞ に発散するため、log∞ + γ も やはり ∞
 に発散してしまいます。
 s=2 の場合は、バーゼル問題として収束値が求められていたのです
 が、オイラーによってその解が明らかにされました。

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 詳しくは「オイラー入門」(W.ダンハム(著))の中で解説されています。

 sが複素数の場合に、「リーマン予想」という難問がありますが、これは
 「ζ関数の自明でない零点の実数部は全て 1/2 である」というもの
 ですね。「素数に憑かれた人たち」(ジョン・ダービーシャー著)によると、
 「オイラーの積の公式」がこれを解く黄金の鍵となるようです。
 分数の和の形であるζ関数を、素数のみを使った積の形に変換できる
 ことをオイラーによって示されたものが「積の公式」で、公式導出の過程も
 その本の中で解かりやすく解説されています。

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 しかし、この式からどうやって零点を求めることができるのか私には解か
 らないので、ζ関数をそれとは別の式でシミュレーションして零点に迫る
 ことができないか模索しているところです。


 

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数の風景-73

 Γ関数について(3)

 最後に指数関数を大顎で鋏んでみます。

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 前々回求めた「f(x)を鋏んだ場合の解」を使って再度計算してみます。

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 指数関数はさすがに頑丈で、大顎でも噛み砕くことはできませんでした。

 

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数の風景-72


 Γ関数について(2)

 前回、Γ関数の「大顎」の強力な分解力を見てきました。ここで試しに
 いくつかの関数を鋏んで計算してみます。
 まず2次関数から

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 つぎに3次関数を鋏んでみます。

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 この大顎の威力の源は何でしょうか。それはその構造を見れば分かり
 ます。
 積分記号は、対象とする関数f(t)を0 から ∞ までの範囲で積分する
 ことを宣言しています。対象とする関数f(t)にはeの-t乗が掛けられて
 おり、「『対象とする関数f(t)はeのt乗の何倍か』を表す t の関数」に
 変えられています。それを実数 t ≧0の全範囲にわたって積分している
 わけです。
 Γ関数の大顎はものすごく強力な関数分解装置で、まるで eのt乗 と
 いうまな板の上で、積分記号∫の包丁を使って素材である 関数f(t) を
 切り捌いていっているかのようです。

 

 

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数の風景-71

 Γ関数について(1)

 ここでこれまでに出てきていないいくつかの関数についてみていきます。
 Γ(ガンマ)関数はつぎのように表されています。

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 この関数は独特な性質を持っていて、Γ(z+1)=zΓ(z)という関係が
 あります。そこで複素数zを自然数nに置き換えれば、Γ(n+1)はつぎ
 のように表されます。

 Γ(n+1)=n(n-1)(n-2)(n-3)・・・3・2・1=n!

 この関数は単に階乗を作る作用だけではなく、もっと深く広い意味を
 持っているのではないかと思い、私なりに調べてみました。
 まず目に入ったのはこの関数の形です。まるで肉食動物が大顎で獲物
 を捕らえて噛み砕こうとしている姿に見えます。
 獲物は関数 tの(z-1)乗、大顎はその関数を鋏んでいる積分記号と
 eのーt乗以降dtまでの部分です。
 以下はΓ関数というよりその拡張形というべきものですが、大顎につか
 まる関数をtの(z-1)乗ではなく、もっと一般化して関数f(t)としたら
 どうなるか調べてみました。

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 Γ関数の大顎に鋏まれた関数f(t)は微積分によって細かく分解され、
 変数の部分には ∞と0 が入ってぼろぼろになってしまいます。

 

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数の風景-70

 数Xの構造解析 その(2)


 数の風景-48で、logの構造について見てきましたが、このlogの式
 からも数Xの計算式を見出すことができます。

 

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 前回同様、いくつかのX値について、nの値が100、1000、10000の場合
 についてこの式を計算し、この式から得られた数値とX値との差を調べ
 てみました。

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 この場合は、上の結果から分かるように、Xの値が1に近いほど計算値
 とX値との誤差は小さく、またn値が大きいほどその誤差は小さくなって
 いきます。
 式の構造をよく見てみると、X値が1に近づくことは、eの指数値が0に
 近づくことでもあります。その意味では前回同様 e の0乗付近でのXの
 近似計算のときが最も精度よく計算できるという結果となります。
 これは私見ですが、実数は(オイラーの公式によれば虚数も)宇宙の
 摂理に矛盾しないよう e の指数として存在しており、われわれは直交
 座標系を用いて計算をしているけれども、それは e の0乗付近を大き
 く拡大した世界なのではないでしょうか。


 

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