前回のπの計算には三平方の定理を使っていますが、この定理はつぎのように
表されています。
この定理について証明をしてみます。
まず直角の2つの隣辺と斜辺をそれぞれ2乗して三角形の外側に3つの正方形
を作ります。そして2つの隣辺から作った正方形を下図の矢印の方向に回転させ
斜辺で作った正方形に重ね合わせます。 ここから証明スタートです。
πの計算(1)
前回eを見たので今度はπを計算してみましょう。πは半円と半径の長さの比、
つまり π=(半円の長さ)/(半径) なのでそれを計算してみます。
下図の半径1の半円の長さはπですが、それを2分割して両端が円周と交わる
直線を引き、その2つの直線の長さを合計します。つぎにそれぞれの角度を2分
割して同じように直線を引き、その直線の長さを計算し、4本の長さの合計を
計算します。同じ要領でどんどん角度を2分割して1本の直線の長さを短くして
いき、円周に近づけながら合計の長さを計算していきます。 そしてn回分割後
の計算式が求められます。
分割回数nが小さい場合は、πの真値からずれた値が出てきますが、n値が大
きくなるにつれて真値に近づいていきます。
0,1,∞(無限大) 再び
数の風景-22で 0,1,∞について見てきましたが、そこで見逃してきた
つぎのような関係について考えてみます。
0×∞ 0/∞ ∞/∞
まず 0×∞ について
0は 0 = lim 1/n (n:自然数) ∞は ∞= lim 1/X
n→∞ x→0
X→0は X = lim 1/n と表されるから
n→∞
∞は ∞=1/(lim 1/n)
n→∞
したがって、0×∞ は
0×∞ = lim 1/n × 1/(lim 1/n)
n→∞ n→∞
= lim n/n
n→∞
= 1 ・・・ (1)
0/∞ について
0/∞ = lim 1/n /(1/(lim 1/n))
n→∞ n→∞
= lim 1/(n×n)
n→∞
= 0 ・・・ (2)
∞/∞ について
∞/∞ = 1/(lim 1/n) /(1/(lim 1/n))
n→∞ n→∞
= lim n/n
n→∞
= 1 ・・・ (3)
ここまではこれでいいのでしょうか。
じつはここで矛盾した結果が現れます。0×∞ について再度計算してみます。
(2)式から 0=0/∞でもあるので 0×∞ は (0/∞)×∞ とも表され
ます。 したがって
0×∞ = (0/∞)×∞
= 0×∞/∞ (3)式より ∞/∞ = 1 だから
= 0×1
= 0
となり、これは(1)式と矛盾します。
結局、0,1,∞は計算の結果を出すときに最後に一度だけどちらに収束する
かを判定することができるもので、計算の途中で四則演算をすることは原則
できないのではないでしょうか。 これは数学の世界では常識なのかもしれ
ませんが。
微分はXの微小な変化にともなって関数Yの値がどのように変化していくかを
見るものですから、X-Y平面上でXの各点における関数Yの傾きの値を関数化
する作業になり、積分はその逆つまりX-Y平面上でX=0からXまでの関数Yの
累積値を関数化する作業になります。
ここに Y=X という関数があるとします。 これはXが1増加すればYも1増加
するという関係を表しています。
この関数についてXによる微分を行えば Y=1 という関数になります。
この式には変数Xがなくなっています。ということはこれ以上この関数をXで微分
することはできないことになります。しかしこれでおしまいと言われても私はなん
だか釈然としません。