徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

経済

マジ経-66  生産力の数式表示(再び)

生産力の評価法についてはマジ経-14.で考えた。そこでは生産力を、生産数に比例し価格に反比例するとの考えから「生産数/価格」と表される、また生産高を実現した人数で評価できるとの考えから「生産高/人数」すなわち「生産数×価格/人数」とも表され…

マジ経-65  生産性とは

ここからまた生産力と供給力、そしてその大きさが景気変動に伴う物価の動きにどのように現れてくるかについ て考えていく。 生産性とは 生産力に関する指標として「生産性」という言葉がよく使われるが、その生産性について考えてみる。まず自然界の場合、そ…

マジ経-64  イギリスEU離脱の波紋

イギリスで国民投票の結果、EU離脱ということになった。これに国際金融市場は大きく反応、すべての株式相場は急落し、外為市場では円が急騰した。この離脱で最も危惧しているのは英国に進出した各企業ではないか。今後のEUとの取引に関税が加わったり取…

マジ経-63  外為市場の動きは

ところで外為市場の動きも国内物価と同じくらいの重さで扱われ、公表されてもよいのではないか。外為市場というより円・ドルレートや円・ユーロレートの動きと外国の主要都市の物価(円換算,ドル換算)の動きを把握する。例えば、少なくとも20カ国程度の代…

マジ経-62  経済の主体は何か(2)

ここでの一貫した経済を見る立場は、実際の有価値の流れをいかに正しく掴むかであり、それを貨幣で集計してもその対象はあくまでも有価値の生産と消費の流れを見ることにある。 現在、国債の累積額が大きな問題になっている。この累積赤字は1000兆円を超…

マジ経-61  経済の主体は何か(1)

貨幣は有価値との交換に使用される。それは有価値を手に入れるときに手放され、有価値を手放すときに入手される。貨幣は有価値の流通を支え、その運用によって生産者と消費者間の取引が円滑に行われる。しかしそれはあくまでも流通の媒体であり、経済の主体…

マジ経-60  マネー経済は何で動く(2)

これは推測でしかないが、民主党時代には円高対応策に対して足元を見られていた。一方自民党時代になってからは足元が見えなくなって利益確定の動き(円が高いうちにドルを買い戻そうとする動き)へ転じたということだろう。このような動きの発端には特に理…

マジ経-59  マネー経済は何で動く(1)

過去の一時期民主党が政権をとっていたが、その時期の円の外為相場は円高傾向が強くなる一方で、80円/$を超えて70円台/$に突入した時期があった。時の財務相は通貨緩和に乗り出す声明を出したが外為市場の反応は鈍く、わずかな戻りはあったものの確…

マジ経-58  マネー経済の結果得られるもの

投資先を求めて世界を駆け回る貨幣は実体経済への投融資という大きな役割を果たしてもいるから実体経済とマネー経済の間に明確な境界線が引けるわけではない。有価値をW貨幣をGとしてマルクス流の表現をしてみると、投融資を受けて有価値を生産し、それを…

マジ経-57  マネー経済

有価値の流通を伴わず手持ちの貨幣を運用することによりそれを増やそうとする経済活動はマネー経済と呼ばれている。実体経済の規模をはるかに上回るマネーが利ざやを求めて世界の金融市場を駆け巡っている。 ケインズは経済発展への足がかりとして投資の必要…

マジ経-56  貨幣の持つ両刃の剣

貨幣にはこれまで考えてきたように経済活動で生み出される有価値を円滑に流通させ、それに関わる人々に所得をもたらす重要な機能がある。ところがこのような機能が存在するがゆえに貨幣で貨幣を増やそうとする動きが生まれてくる。貨幣の①「価格」機能と②「…

マジ経-55  貨幣の「資産」機能(2)

貨幣は「資産」として蓄積・保管しておくことが容易だ。社会で生み出される有価値は利用した瞬間に消えるか耐久財でも長い時間の経過と共に磨耗・劣化してその価値を失っていく。それに対して貨幣それ自体は劣化していくわけではない。しかし貨幣価値が下落…

マジ経-54  貨幣の「資産」機能(1)

貨幣は貨幣を含むあらゆる有価値貸借時の「資産」としての機能を持つ。今日の生活から明日の事業拡大まで、先立つものは貨幣だ。今貨幣が必要なのに手元になければ借用することになる。その貸借契約には金利が伴う。貸借契約により貸し手は手持ち資産(貨幣)…

マジ経-53  貨幣で購入できないもの(2)

貨幣では購入できない「人間の尊厳や、思想・行動の自由」は、憲法の中で基本的人権の保障として謳われている。またそこには「社会権」も含まれている。宮沢俊義著「憲法」から抜粋する。「日本国憲法にいう基本的人権も、・・・ 自由権・参政権および社会権の…

マジ経-52  貨幣で購入できないもの(1)

貨幣で購入できないものはもともと他人のものを自分のものにすることができないもの、たとえば出生・経歴・生命・個性・才能などだろうか。これらは知ることはできても自分のものにすることはできない。また銃・禁止薬物・特定危険物など購入を禁止または制…

マジ経-51  貨幣の「対価」機能(3)

貨幣による購入は価格をつけられるあらゆる「権利」についても可能である。「権利」は前に考えたた生物界における「縄張り」に通じるものだ。 富裕層は貨幣の持つ力で権利を購入し、自らの権利の下で取引を行うことができる。それは富裕層の下への貨幣流通の…

マジ経ー50  貨幣の「対価」機能(2)

あらゆる産業の事業拡大や公共事業のプロジェクトを実施するには必要な技術や物資を確保しなければならず、それをするにもまとまった量の貨幣が必要となる。この資金確保は民間企業では株や社債発行により、公共事業では税の引き当てや特別国債発行などによ…

マジ経-49  貨幣の「対価」機能(1)

貨幣はあらゆる有価値との交換時の「対価」としての機能を持つ。交換は貨幣による有価値の購入という形をとる。日々の生活に必要な食べ物や飲み物それに衣類や靴など身につけるもの、部屋代・電気・ガス・上下水道代など居住に関する費用、バス・電車・タク…

ジ経-48  「価格」全体の動きは?

以上の思考実験では全体を業界AとBの2つで考えたが、現実はこんな単純なものではない。ただこのモデルによって価格の変動にともなって利益配分が変わっていくことだけは見てとれる。現実には多くの業界があり、その中にも沢山の職業が存在する。それら各…

マジ経-47  貨幣の「価格」機能(4)

①貨幣の「価格」機能 <思考実験>-4 業界Bの値上げによる貨幣価値の変化によって業界A,Bの実質利益はどのように変化したとみるべきだろうか。それには(現在)の利益×貨幣価値変化率を計算して現在の利益を1年前の貨幣価値に換算すればよい。 [業界A…

ジ経-46  貨幣の「価格」機能(3)

①貨幣の「価格」機能 <思考実験>-3 業界AとBを合計して[全体]= [業界A]+ [業界B]として、その変化をみる。 [全体] (1年前) → (現在) 売上数 2千万個/月 1千900万個/月 売上高 160億円/月 170億円/月 全体の貨幣価値は …

マジ経-45  貨幣の「価格」機能(2)

①貨幣の「価格」機能 <思考実験>-2 業界AとBの製品価格、製造コスト、売上数、 利益それぞれについて1年前と現在の実績を見てみると、つぎのようになっている。 [業界A] [業界B] (1年前) → (現在) (1年前) → (現在) 製品価格 800円 …

マジ経-44  貨幣の「価格」機能(1)

43で挙げた貨幣の三つの機能について考える。まず「価格」機能から。 価格の高低は利益配分効果をもたらす。生産力の低下を価格転嫁した場合の利益配分の変化についてつぎのような思考実験を行ってみる。 ①貨幣の「価格」機能 <思考実験>-1 業界AとBの…

マジ経-43  貨幣の働きとは

これ以後、需要の対象である「物やサービス」を価値あるものという意味で「有価値」という造語で呼ぶことにする。貨幣はいくつかの大きな機能を持つ。いろいろな機能分類の仕方があるだろうがつぎの3つに分類できないだろうか。それは ①有価値の価値の高さ…

マジ経-42  潜在需要について

ただ生活に必要なものさえ節約せざるをえない貧困層も存在する。このような人々に何らかの方法で所得増が実現されたら、その所得増分は高い比率で消費に回されるだろう。このような効果を加えた需要を潜在需要ΣN’として把握しようとすれば、格差の係数であ…

マジ経-41  総所得と総需要の大きさは等しい?(2)

「需要Nに消費性向cを掛けたものが市場規模Mとなる」と考えた理由は、収入は本来、需要を満たすために得るものだという前提に立って、所得(=収入の総額)は需要を100%満たすだけの額になっているとしている。 また「実需は所得の範囲から発生する」…

マジ経-40  総所得と総需要の大きさは等しい?(1)

ここから貨幣の働きについて考えるつもりでいたが、自分の出した結論、「総所得と総需要の大きさは等しい」が誤っていないのか検証しておく必要を感じたので、急遽ここに割り込むことにした。 数式上は総所得をΣY、市場の大きさをΣMとすると、消費性向cは…

マジ経-39  需要の最大の担い手

消費の中で最も多くの割合を占めるのは個人消費だ。これは人々の生活の中から生まれる消費で、国内総生産(GDP)の約60%を占める。したがって、経済を活性化していくには個人需要を喚起するとともに消費拡大を図っていくことが必要になってくる。需要の…

マジ経-38  需要の大きさをどう測る(4)

消費性向cは税率をt、貯蓄率をsとすれば c=1-(t+s)の関係にあるから、総需要∑Nはつぎのように表される。 ∑N=∑M/(1-(t+s)) この式が表す重要な意味は分母の(1-(t+s))にある。つまり集計上は同じ市場規模であっても収入を…

マジ経-37  需要の大きさをどう測る(3)

市場規模Mはどのように表されるだろうか。ある製品が取引される市場規模Mは、一定期間中に市場での製品取引で流れた貨幣の総量で表される。その大きさは製品の価格Pと、一定期間中に売買された製品の量Iとの積となる。数式で表せば M=PI である。複…