徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

マジ経75  デフレ・・・ディマンドプル型

 デフレの動きは何でも不景気の元凶のように見られがちだが、それはディマンドプル型のデフレに対する見方だ。これは懐が寒いためかあるいは多少の貯蓄はあっても将来への不安からか出費をできるだけ抑えようとする消費者の動きによって引き起こされる。消費者の財布の紐が固いのはなぜか。その原因を掴んで改善していくことによってしか市場を支える個人消費の力を取り戻すことはできない。

  <朝顔> アサガオは朝がお元気すっきりと

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マジ経-74  インフレ効果を打ち消すデフレ効果

ところがアベノミクスによる円安効果で輸入価格が上昇しコストアップ型のインフレになるはずなのに、原油価格については輸入価格は2014年後半頃から上るどころか下る一方になった。円安で原油輸入価格が上昇しないのは、外為相場とは全く別の変動要因が円安効果を打ち消しているためでもある。それは原油需給が供給過多に傾き、価格下落への強い動きが現れてきたことによる。 この需給バランス変動の原因は新聞や雑誌に詳細に解説されている。その内容をかいつまんでいえば世界規模で原油への需要が軟化しつつあるにも関わらず供給量をそれに合わせて調整していくことがなされていないため、デフレ効果となって現れたということだろう。

サルスベリ> 百日紅青葉の先に花飾り

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マジ経-73  インフレ・・・コストアップ型

 コストアップ型のインフレは製造原価の上昇が最低販売価格を押し上げる状況下で発生するので、一番卑近な例が輸入原油価格だ。これが値上りすればすぐに車の燃料代が上がる。原油価格は生産されるいろいろな製品のコストに含まれるのでそれらの製品の最低販売価格は上昇していく。食卓に上る肉や野菜、味噌醤油、飲料に至るまで、最近の値上りの主な原因は燃料や肥料・飼料の元となる輸入原材料価格の値上りによるものが多いのではないだろうか。
  モミジアオイ> パッと咲くモミジアオイの赤い花

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マジ経-72  インフレ・・・ディマンドプル型

 1970年代初め田中内閣のときにトイレットペーパー騒ぎが起こった。突然スーパーマーケットからトイレットペーパーが消えたのだ。家計を預かる主婦達は品薄になったトイレットペーパーを求めて店先に並ぶ騒ぎとなった。あとでこれは買占め売り惜しみによるものであることが分かった。当時は物価の上昇率も給与所得者の給与上昇率も2桁台%で、このような社会背景から生まれ意図的に演出されたディマンドプル型のインフレがトイレットペーパー騒ぎだった。
  ディマンドプル型のインフレは、供給が需要を満たすことができないことに起因して発生するものだから、その対策としては供給力の増強が必要となるが、このような問題は供給力の拡充した現在においてはほぼありえない。
  <オクラ> オクラ咲く薄黄花びら柔らかに 

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マジ経-71  景気変動で物価はどう変わるか

  物価の急変には2種あり、上昇をインフレ(inflation)、下落をデフレ(deflation)と呼ばれている。これらは景気変動のさまざまな局面に現れる。インフレとデフレのそれぞれの要因について自分はつぎのように考えている。
 インフレ要因は2つ、ディマンドプルとコストアップ(注)だ。
  ディマンドプル型インフレ
   需要に対して供給が不足して最高購買価格を引き上げる状況下で発生する
  コストアップ型インフレ
   製造原価の上昇が最低販売価格を押し上げる状況下で発生する
 デフレ要因も2つ、ディマンドプルとコストダウン(注)だ。
  ディマンドプル型デフレ
   供給に対して潜在需要はあるが購買力が不足して最高購買価格を引き下げる
   状況下で発生する
  コストダウン型デフレ
   製造原価の低下が最低販売価格を引き下げる状況下で発生する
(注)コストアップに起因するインフレは一般にコストプッシュインフレーションと呼ばれているが、コストダウンに起因するデフレもあるので、ここではプッシュの方向を示す目的でアップとダウンに分けている。
  <キュウリ> 実をつけるキュウリの花はトゲ柄付き

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マジ経-70  供給力は物価の変動にどのような影響を及ぼすか

 供給力を十分に持つ分野では供給が需要に容易に追いつくので市場価格は供給者同士の最低販売価格競争になりやすい。これは買い手にとって都合のよいいわゆる買手市場だ。
 これに対して供給力が十分でないか寡占状態にある分野では有価値の供給量に制限があるか供給量を制限できるので、需要に引っ張られて物価上昇が発生しやすい。
  <鬼百合> 村雨に濡れるオニユリ赤ら顔

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マジ経-69  物価を決定するものは何か

 物価は市場において需要と供給の関係から決定される。売り手側からすれば今後も事業を続けていけるだけの利益を確保できる売値は最低確保したい。買い手側は同じ品質ならば安いにこしたことはない。
 ここには二つの要素がある。第一は売り手側要素だ。売り手側にはこれ以下には絶対に下げられない最低販売価格がある。これ以下になれば事業を継続していけない最低の価格だ。その上にさらに利益を積み上げようとする動きがある。第二は買い手側要素だ。買い手にとっては求めるものが安いほどよいが、もしそれが希少なものでどうしても手に入れたければ価格が高くても購入する。そして最終的に買い手が購入を断念する価格が最高購買価格ということになる。取引は売り手側の最低販売価格と買い手側の最高購買価格との間で繰り広げられる。
  <クロコスミア> 今年また朱い盆花顔を見せ     (注)「盆花」は地方の俗称

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