分割数を∞に近づけていくと πの素 はどうなる(2)
ここでは「∞に近づけたn値」のことを「n→∞」と表現します。
数の風景-32 で分割数が増えるにつれて πの素(Π) の値がどんどん小さく
なっていくのを見てきました。そして分割数n→∞の極限状態では0になっている
かもしれません。
しかしここでちょっと考えてみてください。半径1の長さをn→∞分割するとやはり
0に近づいていきますが、その分割された小さな1辺に同じn→∞を掛ければ
結果は1になるのは明白です。とすると分割数n→∞で極限状態の0になって
いるはずの πの素 は厳密には0ではないのではないかという疑問が生まれて
きます。というのも、このπのn→∞分割値(πの素)をn→∞倍すればπという
値になるからです。
そこで前回見てきた、「角度Θを限りなく0に近づけていくと、sinΘはΘに
どんどん近づいていき、ついにはΘに等しくなっていく」という結論の出番です。
私はこの結論は「条件付きで正しい」と考えます。πをn→∞分割した1辺をn→∞
倍すればπの長さになります。図で表せばつぎのようになります。
図でΘのn→∞分割のn→∞倍と、半径1のn→∞分割のn→∞倍を表してみま
した。たしかにπは半径のπ倍の長さになっています。しかし円弧にはなってい
ません。
私は円弧を本当に再現させるための本当の「πの素」は、sinΘのn→∞分の1
でなければならないし、いくら分割してもsinΘはΘにはならないと考えます。
専門的にいえば、「Θ→0でsinΘ→Θ」はスカラー(数だけの世界)では正し
く、ベクトル(数だけでなく位相・方向も含む世界)では正しくないということ
でしょうか。
結局、極限の「πの素」の正体は目に見えるものではありませんが、下の模式図
のように表される微小三角形ではないでしょうか。