徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

数の風景-34

 分割数を∞に近づけていくと πの素 はどうなる(2)

 ここでは「∞に近づけたn値」のことを「n→∞」と表現します。
 数の風景-32 で分割数が増えるにつれて πの素(Π) の値がどんどん小さく
 なっていくのを見てきました。そして分割数n→∞の極限状態では0になっている
 かもしれません。
 しかしここでちょっと考えてみてください。半径1の長さをn→∞分割するとやはり
 0に近づいていきますが、その分割された小さな1辺に同じn→∞を掛ければ
 結果は1になるのは明白です。とすると分割数n→∞で極限状態の0になって
 いるはずの πの素 は厳密には0ではないのではないかという疑問が生まれて
 きます。というのも、このπのn→∞分割値(πの素)をn→∞倍すればπという
 値になるからです。
 そこで前回見てきた、「角度Θを限りなく0に近づけていくと、sinΘはΘに

 どんどん近づいていき、ついにはΘに等しくなっていく」という結論の出番です。
 私はこの結論は「条件付きで正しい」と考えます。πをn→∞分割した1辺をn→∞
 倍すればπの長さになります。図で表せばつぎのようになります。

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 図でΘのn→∞分割のn→∞倍と、半径1のn→∞分割のn→∞倍を表してみま
 した。たしかにπは半径のπ倍の長さになっています。しかし円弧にはなってい
 ません。
 私は円弧を本当に再現させるための本当の「πの素」は、sinΘのn→∞分の1
 でなければならないし、いくら分割してもsinΘはΘにはならないと考えます。 
 専門的にいえば、「Θ→0でsinΘ→Θ」はスカラー(数だけの世界)では正し

 く、ベクトル(数だけでなく位相・方向も含む世界)では正しくないということ

 でしょうか。
 結局、極限の「πの素」の正体は目に見えるものではありませんが、下の模式図
 のように表される微小三角形ではないでしょうか。

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