以上の思考実験では全体を業界AとBの2つで考えたが、現実はこんな単純なものではない。ただこのモデルによって価格の変動にともなって利益配分が変わっていくことだけは見てとれる。現実には多くの業界があり、その中にも沢山の職業が存在する。それら各業界・職業から生み出される有価値の物価上昇率の違いがそれぞれの業界・職業への利益配分効果をもたらす。そして総合的に物価上昇率(=1/貨幣価値下落率)が現れる。各職業への従事者数も含めてこのダイナミックな動きをビジュアルに把握することができれば世の中の動きがよくわかるだろう。当たり前のことだがここで忘れてはならないのは、物価は市場で決められるものであり、供給側の意図通りに決まるとは限らないということだ。
<アザミ> 鮮やかに咲く紫のアザミかな