徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

経済

マジ経-36  需要の大きさをどう測る(2)

ケインズの経済理論にたびたび登場してくる言葉に限界消費性向というものがある。これは「所得の増分を消費支出の増分に回す比率」と解釈される。これと少し異なるが「所得を消費支出に回す比率」として消費性向という言葉を使うことにする。 需要の大きさを…

マジ経-35  需要の大きさをどう測る(1)

需要の大きさを測るにはどうすればいいだろうか。需要が大きければ取引量が増加するが品薄気味になれば価格は上昇してくる。逆に需要に比べて十分な品数があれば取引価格は下落してくる。つまり高値で取引されるのは需要が大きいからであり、需要が小さくな…

マジ経-34  経済を牽引するものは何か

経済を牽引するものは生産力だろうか需要だろうか。経済の力は生産力であることは間違いなさそうだが、経済を動かす原動力は需要である。なぜなら需要は消費意欲の大きさだから。そして結局消費量が生産量を決定する。 近代経済学の巨人ケインズは経済の原動…

マジ経-33  市場経済の負の面(2)

ここから見えてくるものは何だろうか。市場取引は別として工場労働に関しては当時の人権意識の低さだ。人の持ち時間は、その人が自由に使う権利を持つ。その権利を尊重しない意識の低さがこの搾取の根源にある。現在もブラック企業といわれている要注意企業…

マジ経-32  市場経済の負の面(1)

しかし市場経済が良い面ばかり持っているわけではない。マルクスの著書「資本論」が生まれたのは19世紀産業革命さなかのロンドンにおいてだった。当時ロンドンは手工業から機械化による工場生産への移行が進みつつあり、そこに雇用される労働者の労働条件…

マジ経-31  市場競争は生産力を鍛える

個別レベルでの意欲を掻き立てる要素とは何だろうか。それは事業存続をかけた市場での競争だ。意欲を競争に打ち勝っていこうとする意志とすれば、資本主義経済においては意欲をなくした途端に衰退への道をたどりはじめる。民間企業は資産運用や知的財産権な…

マジ経-30  社会主義経済

マルクスを源流とする社会主義経済は20世紀末にほぼ壊滅してしまったかに見える。正確には計画経済から市場経済への移行がほぼ完了したというべきか。 この最大の理由は計画経済に基づくノルマ達成主義にあるのではないか。計画経済においては生産方式が計…

マジ経ー29  資本主義経済の活力

また資本主義社会では自由に起業することもできる。十分な意欲と能力を持った人たちが社会の新たな需要に素早く対応していくことで活力ある社会が維持されていく。ただ事業が成功するにはいくつものハードルを乗り越えていかなければならない。自分の持てる…

マジ経-28  市場

市場とは需要と供給とが出会う重要な場所だ。需要の高いものは高価格で引き取られる。需要があっても供給が十分に追いついているものはそこそこの価格で引き取られる。そこには当然マルクスのいう剰余価値も入っているだろう。しかしそこにこそ市場活動活性…

マジ経-27  市場に対するマルクスの見方

資本主義経済を否定しているマルクスは市場取引を否定していた。著書「資本論」の中にその理由をうかがえる一節がある。 「商品流通の直接的形態はW-G-W、商品の貨幣への転化および貨幣の商品への再転化、買うために売るである。それとは独特に区別され…

マジ経ー26  労働者は機械を使いこなす

たしかにこのような側面がないとは言えないが、人は機械と違い考える力を持っている。機械と一緒に働く職場なら人は習熟によって機械を意のままに使いこなすことができるようになる。分業で不具化されるというが、このようになりがちなのは何も資本主義社会…

マジ経-25  資本主義経済の中の労働者

資本主義経済社会における労働者についてマルクスはその著書「資本論」の中でつぎのように述べている。 「機械によって駆逐される労働者たちは作業場から労働市場へ投げ出され、そこですでに資本主義的搾取のために自由に利用できる状態にある労働力の数を増…

マジ経-24  豊かさを享受できない社会

これまで豊かさと生産力についてあれこれ考えてきたが、日本のように生産力の拡充した社会ではすでに豊かさは実現されており、問題はむしろ格差拡大に伴って発生する豊かさを享受できない貧困の拡大とその連鎖にある。これまで一般にはお金持ちがますますお…

マジ経-23  豊かさと生産力(5)

コストダウンへの努力は行き過ぎれば無報酬の時間外労働などの劣悪な労働環境を常習化していくきっかけにもなっている。また一度希望退職に応じて職から離れた人たちは別の新たな職に就くしかないがそう簡単に希望の就職先は見つからない。したがって、人材…

マジ経-22  豊かさと生産力(4)

豊かさが向上するに伴い、社会の産業構造にも変化が現れてくる。製造業の生産力がついていくことは一人当たりの生産量が増えていくことでもあるから、同じ生産量を維持していくのであればそこに従事する人数が減少していかざるをえない。製造業以外でも豊か…

マジ経-21  豊かさと生産力(3)

豊かさが向上することはそれに伴って人々の収入が大きくなっていくことでもあるから、工場労働者の人件費も上がってくる。またいろいろなサービス業の収入も上げていかなければならないから各種サービス料金も値上がりしてくる。これは前にも見てきたように…

マジ経ー20  豊かさと生産力(2)

豊かさのきっかけを掴めるかどうかはそこにある潜在需要を正しくつかみ、それに対応できる生産力を引き出すことができるかどうかにかかっているだろう。すなわちインフラや資源を把握した上で必要な技術を伴った投資を行い、現地雇用を進めながら生産・流通…

マジ経-19  豊かさと生産力(1)

豊かさが向上するとそれに伴って購買力が上がってくるから、生産される物やサービスがよく売れる、すると生産がさらに活発になる。生産設備投資も盛んになり、経済はより活性化してくる。この一連の動きは絵に描いたような経済の好循環だが、そもそも豊かさ…

マジ計ー18  生産力 現実は

現実にも年収で表される豊かさの向上はそれが経済力の向上を直接表しているかのように見られがちだが、それに見合う実体の生産力向上がなければ名目の向上でしかない。実体経済に変化がなくて年収が上がることは生産力は一定だがその媒体である貨幣量が増え…

マジ経-17  生産力評価

それは比較の基準を一人当たりの収入に見せかけながら、実際には一人当たりの「生産数×価格」を比較していたということ。組織で行う事業にはそれと気付かぬようにこっそりと生産数量の要素を入れ込み、個人事業では生産数のファクターを1として計算している…

マジ経-16  生産力 <思考実験> 結果

<思考実験>の結果は、組織で行う事業の場合は一人当たりの収入が大きいいほどその生産力は大きいといえるが、個人事業の場合は一人当たりの収入が小さいほどその生産力は大きいという相反する結果となる。 ここにはちょっと見落としがちなからくりがある。 …

マジ経-15  生産力 <思考実験>

生産力評価について思考実験してみる。組織で行う事業の場合 製造業を営んでいる企業の生産力は製品1個を生産するのにどれだけのコストがかかるかが鍵となる。もちろんより低コストで生産できるほど生産力は強い。製造業に関わる人々の収入は生産団体の得る…

マジ経-14  生産力をどう評価するか

生産力を評価するにあたってつぎのような捉え方ができるのではないか。あらゆる産業について組織で行う場合も個人事業の場合も「生産数/価格」である。組織で行う事業も個人事業もどちらも同じように見えるが、ここには正反対ともいえる効果が現れることに…

マジ経-13  人的資源

豊かさの指標として取り扱うのに注意を要するのが人的資源であり、年齢別に労働力人口を調査したとしてもそれがすぐに豊かさの指標とはならない。識字率や教育の有無、教育の内容と水準などを把握した上での労働力人口ならば人的資源として評価できるかもし…

マジ経-12  豊かさの源泉

豊かな国といえば国内に豊かな資源を持っている国、たとえばOPECに加盟している国などが思い浮かぶ。このグループの諸国は国内で産出する資源を輸出して富を得ている。日本はこのグループの輸出相手国だが、日本では資源を輸入してこれらをもとに人々の…

マジ経-11  豊かさ

豊かさは一人当たりの年収などで表され、国家間で比較されたりもしている。隣国の中国は一人当たりの年収はまだまだだが今やGDP世界第2位の生産高を誇る豊かな国になっている。昨年は「爆買い」などの言葉も流行語になるほど裕福な人も多い。しかし一方…

マジ経ー10  経済規模と貿易収支

自分としては社会通念通りつぎのように解釈している。<経済規模>エネルギー代謝の大きさを貨幣で評価した値。各国の経済規模は主にGDP(国内総生産)の値で表される。<貿易収支>貿易収支が大幅黒字ならばその国は全体では消費以上の生産をしているこ…

マジ経-9  強い経済とは

ある種の生物が繁栄するにはその生物の食料となるものが豊富に生み出される環境が必要だが、限られた食物を上手に取り込んで利用してそれなりに繁栄している生物たちもいる。これと同様に社会が繁栄していくのに必要な豊かな土地や天然資源はあるに越したこ…

マジ経-8  再び経済活動とは

ここまで考えてきたことをまとめる。経済活動には自己の生存を支えている動植物の活動も含まれ、自然界のエネルギー代謝に乗って、養分または食料の取り込みと取り込んだ養分による成長と繁殖活動を行っている。 ここからはわれわれ人間社会の経済について考…

マジ経-7  土壌を造るもの

土壌はどのように育まれていくのだろうか。地殻の移動による褶曲で海底であったところが陸地になったり、地殻の亀裂に侵入したマグマが噴出して火山をつくり麓に溶岩を流し出したりして土壌の素材が提供される。それが風雨や日光や寒暖差にさらされることに…