徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

数の風景-83

 各虚数の整理と表示(2)

 前回、各虚数 i j k をR-i座標表示しました。 ここで再度 k 以上の
 すべての虚数についてつぎにまとめます。

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 以上の虚数を 数の風景-76 で見てきた、数aの平方根をとり続けて
 いく場合の虚数分類に対応してまとめてみます。
 ここでは、実数aがeのα倍である(a=αe)とき、平方根を連続4回
 までとって、実数aの(1/16)乗までに細かくした数を対象にして整理
 します。 表中の○数字は、上のR-i座標上への各虚数の位置取り図
 に表している○数字に対応しています。

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 このように、すべての虚数オイラーの公式を用いてR-i座標上の点として
 表すことができました。

 

 

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数の風景-82

 各虚数の整理と表示(1)

 前々回、Xの3次方程式の解 a,b,c の値を求めましたが、その3つ
 の組合せを図で表すことはできないか検討してみます。そのためには
 多くの虚数を整理して、表示だけでなく計算もできるだけ簡素化する
 必要があります。
 そこで多くの種類の虚数オイラーの公式を使って整理できないか
 検討してみました。
 これ以降、実数部の表示記号として R を用います。
 オイラーの公式のR-i座標表示はつぎのようになります。

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 虚数 j は j×j=i の関係にあるので、j は i までの角度π/2の1/2
 のπ/4となり、その位置は円周上で 1 と i の中間点になります。
 そして-j は j から原点を挿んで反対側の位置になります。この関係を
 つぎに図示します。

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 上の要領で虚数kについてもR-i座標上に位置取りすることができます。

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数の風景-81

 高次方程式を解く(2)

 今度はつぎのようなXの4次方程式について見ていきます。

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 これが解 a,b,c,d を持つとするとき、前回と同様の方法で展開式
 を求め、その展開式は上の4次方程式に一致しなければなりません。
 それには、各次数のXの係数値および定数値と、展開式の係数とが
 一致しなければならないので、つぎの4元連立方程式が導かれます。

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 これを解いて、解 a,b,c,d の値を求めます。まず、c,d を a,b で
 表すことから始めます。

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 c,d を a,b で表すことまではできました。 つぎに b の値を a で表し、
 そしてすべての変数を a で表す必要があります。その後、a 値を算出
 すれば、b,c,d も求められるはずです。ところが b を a で表す作業
 以降が大変難しく、私は解くことができませんでした。

 

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数の風景-80

 高次方程式を解く(1)

 このような虚数たちを気味悪がっているだけでは面白くありません。
 そこでこれをうまく利用して高次方程式を解くことができないだろうかと
 考え、まず3次方程式に取り組むことにしました。
 つぎのようなXの3次方程式の解はどうなるでしょうか。

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 これが解 a,b,c を持つとするとき、上の式は下のようにも表され、
 その展開式は上の3次方程式に一致しなければなりません。それに
 は各次数のXの係数および定数値が上の方程式の各係数(ここでは
 すべて1)に等しくなる必要があります。こうして3元連立方程式が導か
 れます。

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 これを解いて、解 a,b,c の値を求めます。そうするとその解は、
 つぎのように、解 a,b,c の3つの組合せがあることが分かりました。
 解の中には i よりも下位の虚数 ij や j も含まれています。

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 ここでは省略しますが、これが間違いないかどうかは、それぞれの
 a,b,cの組について、(X-a)(X-b)(X-c)=0 の展開式が、
 最初の3次方程式に一致するかどうかで確かめることができます。

 

 

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数の風景-79

数の風景-79

 各虚数間の計算方法

 ここまで見てきた中で、1の累乗根連続4回で8種類の数が現れ、その
 うち7種類が虚数です。それぞれに+と-があるので、合計16種類に
 別れ、そのうち14種類が虚数です。
 ここで、これら16種類の数の間での計算方法を整理します。
 まず四則演算をしてみます。加減算は文字の加減算と同じように、同じ
 虚数どうしで加減算をします。

  [計算例1] 加減算
     1+i+2j+k-3j+5jk+ik-2ij+4i-2+ijk

     -3ik-2jk
    =-1+5i-j-2ij+k-2ik+3jk+ijk

 乗除算も基本的には文字式の計算と同じです。先に乗算どうしを計算
 し、つぎに除算を計算するほうが簡単な気がします。

  [計算例2] 乗除算
     i×2j×k÷3j×5jk×ik÷2ij×4i×ijk÷3ik÷2jk
    =2ijk×5ijkk×4iijk÷3j÷2ij÷3ik÷2jk
    =(2×5×4)/(9×4)×(ijk×ijkk×iijk)/

     (ijj×ijkk)
    =(10/9)iikk
    =-(10/9)j

 つぎに 加減算と乗除算とを混合した式を計算してみます。計算順序
 は文字式の計算と同じく先に乗除算を行い、そのあと加減算を行い
 ます。

  [計算例3] 加減算,乗除算混合
     i×2j+k÷3j×5jk+ik÷2ij×4i-ijk×3ik÷2jk
    =2ij+5i÷3j-4k÷2ij+3i÷2jk
    =2ij+(5/3)j+2jk+(3/2)k
     (注)-4k÷2ij の計算は -4k=4iik=4ijjk として

        2ijで割る
        3i÷2jk の計算は 3i=3jkk として2jkで割る

 組み合わせ虚数記号の付いた数の平方根をとる場合は、それぞれの
 記号について虚数記号を付けることになります。
 たとえば -4ij という虚数があったとき、その平方根は 4が2と-2、
 -がi、iがj、jがk になるので、2ijk と-2ijk になります。

  [計算例4] 平方根    -4ij の平方根は ±2ijk

 

 

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数の風景-78

 多種類の虚数(3)

  前々回、前回と 平方根や共役複素数をとり続けていくことにより、多く
 の虚数が現れてくる様子を見てきましたが、ここでは i 以下のいろいろ
 な虚数について、それを累乗していくことでどのように変化していくかを
 見てみます。
 それぞれの虚数は累乗していくことにより、別の数世界へ変位していく
 ようです。その変位の様子について、正の整数1以下の各種類について
 まとめてみました。ここには 1,-1, i の下位に j や k を加えてみま
 した。

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 初期値が虚数 i の場合、2乗で-1、3乗で-i、4乗で1になります。
 そこを四角の枠で囲んでいます。そして5乗目からまた i からスタート
 します。つぎに虚数 j を見てみると、8乗で1にたどり着き、その次から
 また1巡していきます。虚数 k では、16乗で1にたどり着きます。
 これらの動きは私の考えでは理にかなったもので、-は1を(1/2)乗
 したときに現れてくるもので、i は1を(1/4)乗したときに、j は1を
 (1/8)乗したときに、k は1を(1/16)乗したときにそれぞれ現れ
 てきます。1はその逆で、-を2乗したときに、i を4乗したときに、j を
 8乗したときに、kを16乗したときにそれぞれ現れてきます。

 

 

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数の風景-77

 多種類の虚数(2)

 前回、平方根をとり続けていくことにより、多くの虚数が現れてくる様子
 を見てきましたが、共役複素数をとることによっても多くの虚数記号が
 発生します。
 共役複素数の関係式を用いて、つぎのように上位の虚数を下位の虚数
 の積に分解することができます。

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 この関係から、マイナスの数は実数に分類されていますが、符号“-”は
 虚数群の筆頭に位置する存在でもあることがわかります。
 また、この関係を用いて1をつぎのようにも表すことができます。

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 この関係から、2をつぎのように共役複素数に分解することもできます。

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 1の場合は上の関係式に各段階で2の-(1/2)乗が掛かってくるので、
 つぎのようになります。

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