Γ関数について(3)
最後に指数関数を大顎で鋏んでみます。
前々回求めた「f(x)を鋏んだ場合の解」を使って再度計算してみます。
指数関数はさすがに頑丈で、大顎でも噛み砕くことはできませんでした。
Γ関数について(2)
前回、Γ関数の「大顎」の強力な分解力を見てきました。ここで試しに
いくつかの関数を鋏んで計算してみます。
まず2次関数から
つぎに3次関数を鋏んでみます。
この大顎の威力の源は何でしょうか。それはその構造を見れば分かり
ます。
積分記号は、対象とする関数f(t)を0 から ∞ までの範囲で積分する
ことを宣言しています。対象とする関数f(t)にはeの-t乗が掛けられて
おり、「『対象とする関数f(t)はeのt乗の何倍か』を表す t の関数」に
変えられています。それを実数 t ≧0の全範囲にわたって積分している
わけです。
Γ関数の大顎はものすごく強力な関数分解装置で、まるで eのt乗 と
いうまな板の上で、積分記号∫の包丁を使って素材である 関数f(t) を
切り捌いていっているかのようです。
Γ関数について(1)
ここでこれまでに出てきていないいくつかの関数についてみていきます。
Γ(ガンマ)関数はつぎのように表されています。
この関数は独特な性質を持っていて、Γ(z+1)=zΓ(z)という関係が
あります。そこで複素数zを自然数nに置き換えれば、Γ(n+1)はつぎ
のように表されます。
Γ(n+1)=n(n-1)(n-2)(n-3)・・・3・2・1=n!
この関数は単に階乗を作る作用だけではなく、もっと深く広い意味を
持っているのではないかと思い、私なりに調べてみました。
まず目に入ったのはこの関数の形です。まるで肉食動物が大顎で獲物
を捕らえて噛み砕こうとしている姿に見えます。
獲物は関数 tの(z-1)乗、大顎はその関数を鋏んでいる積分記号と
eのーt乗以降dtまでの部分です。
以下はΓ関数というよりその拡張形というべきものですが、大顎につか
まる関数をtの(z-1)乗ではなく、もっと一般化して関数f(t)としたら
どうなるか調べてみました。
Γ関数の大顎に鋏まれた関数f(t)は微積分によって細かく分解され、
変数の部分には ∞と0 が入ってぼろぼろになってしまいます。
数Xの構造解析 その(2)
数の風景-48で、logの構造について見てきましたが、このlogの式
からも数Xの計算式を見出すことができます。
前回同様、いくつかのX値について、nの値が100、1000、10000の場合
についてこの式を計算し、この式から得られた数値とX値との差を調べ
てみました。
この場合は、上の結果から分かるように、Xの値が1に近いほど計算値
とX値との誤差は小さく、またn値が大きいほどその誤差は小さくなって
いきます。
式の構造をよく見てみると、X値が1に近づくことは、eの指数値が0に
近づくことでもあります。その意味では前回同様 e の0乗付近でのXの
近似計算のときが最も精度よく計算できるという結果となります。
これは私見ですが、実数は(オイラーの公式によれば虚数も)宇宙の
摂理に矛盾しないよう e の指数として存在しており、われわれは直交
座標系を用いて計算をしているけれども、それは e の0乗付近を大き
く拡大した世界なのではないでしょうか。
数Xの構造解析 その(1)
数の風景-27 で見てきた自然対数の底 e の式から数Xの計算式
が導かれます。
いくつかのX値について、nの値が100、1000、10000の場合について
この式を計算し、この式から得られた数値とX値との差を調べてみま
した。
このような一見わけの分からない計算は何を見ようとするものでしょ
うか。
実数Xをe の指数の位置に置いて計算した場合、X値とその分割数n
によって計算結果にどのような誤差が発生するかを見るものです。
計算結果は、X値が0に近いときe の0乗付近での近似計算となり
ますが、このときが最も誤差は小さくなりました。またn値が大きい
ほど誤差は小さくなります。
結局、なぞだらけの素数
いささか素数に食傷ぎみになってきました。 最後にX値を実数領域
まで拡張して考えてみます。 Xがeのn乗のとき、X以下の素数個数
比率はつぎのようにすっきりした分数形 1/(n-1) になります。
以上の関係からも、素数の発生確率が自然対数の底eと密接に関
わっているのは疑いようがありません。
ところで、ここまでは X≧(eの2乗) の範囲で計算しています。では
0<X<(eの2乗) の範囲ではどうなるでしょうか。
eの0.1乗からeの2乗まで0.1乗刻みでX値を変化させていき、素数個数
比率を計算しました。
計算結果は X=(eの2乗) のとき 1、Xがそれより小さくなるにしたが
って 徐々に大きくなっていき、X=e のとき +∞に発散し、Xがe より
小さくなった瞬間に-∞から出発して 最初は急速に、そしてしだいに
ゆっくりと上昇していき、 X=(eの0乗)つまりX=1 で-1を通過し、
X<1に入ってさらにゆっくりと上昇していきます。
X=e のとき素数個数比率が±∞に発散してしまうのは 数式からの
帰結と言ってしまえばそれまでですが、この一連の変化をどう解釈
すればいいでしょうか。そもそも素数個数比率が1を超えるとは、どう
いうことでしょうか。 なぞは深まるばかりです。
素数個数比率の曲線は双曲線関数(y=1/x)に類似している点が
見えるので、つぎにまとめてみました。ここに何らかの意味をつかむ
ヒントが隠れているかもしれません。