徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

数の風景-52

 微積分の連鎖・・・グラフによる確認

 微積分連鎖の関数は、一般に使われている各階の関数に()内の式を掛
 けた形になっています。()内の式をどう解釈したらいいのでしょうか。
 ここでは()内の式が示す挙動について見てみます。式の内容をビジブルに
 つかむため、X値が1≦X≦10、積分階数nが 1≦n≦10 の範囲で()内
 の式をグラフ化してみました。

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つぎに同じX値の範囲で、n階積分関数について5階積分まで見てみました。

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 さらにn階積分関数について X値を 1 を跨いで 0.75 から 5 までの範囲
 で、積分ではlogXの5階積分まで、微分ではlogXの3階微分までの範囲で
 見てみました。

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 積分の関数では1より大きい領域で、微分の関数では1より小さい領域で
 関数の値が大きく変化していきます。
 ここでいくつかのX値をパラメータとして、微積分の階数値を横軸に、その
 変化の様子を見てみます。

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 微積分の階数が増えるにつれてグラフがダイナミックに変化していく様子が
 見られます。

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数の風景-51

 微積分の連鎖

 logX の積分を何度も繰り返しているうちに、()内の-の分数に何らかの
 規則性がありそうなので探してみました。そして積分階数と分数との間に
 つぎのような関係があることが分かりました。

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 この結果、微積分の流れはXのプラスの指数から、logX を挟んで、Xの
 マイナスの指数にまでつながりました。

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 logのn階積分関数が正しいかどうかは、その関数を微分してn-1階の積分
 関数になるかどうかで確かめることができます。

 

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数の風景-50

 logXの積分・・・上位階へ

 前々回にXの1階積分関数 X(logX-1) を導出しました。今回はこれを
 つぎのようにして2階積分関数を求めました。

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 同じ要領で3階積分関数、4階積分関数を求めました。それらの関数は
 つぎのようにまとめられます。

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 これらが問題ないかどうかは上位の階の関数を微分して1階下の関数に
 なるかどうか確かめます。
 試しに前出の、関数 f(x)・g(x) の微分

 f’(x)・g(x)+f(x)・g’(x) と
 なる公式を利用して4階積分関数を微分してみます。

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 4階の式の微分によって1階下の3階の式になることが確かめられました。

 

 

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数の風景-49

 X vs X(logX-1)

 数の風景-26で、Xの0乗からの微分、logX からの積分の辺りで微積分の
 連続性がよく分からなくなっていたので、ここで再度考えてみます。
 前回の検討結果からlogX の積分形は y=1 の積分である y=X に

 (logX-1) を掛けた形になっています。
 Xの1次元といえば、関数 y=X が常識ですが、この微分は y’=1 となり、さら
 にその微分は y’’=0 で、ここで微分の連鎖は途切れてしまいます。
 それに対して関数 y=X(logX-1) は、その微分が y’= logX 、

 さらにその微分が y’’=1/X となり、それ以降も微分は可能です。
 このように、Xの1次元に X(logX-1) を持ってくれば微積分が途切れる

 のを回避できるようです。
 ここで参考までに、y=X と y=X(logX-1) とを グラフに表示して

 みました。

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 y=X と y=X(logX-1)のグラフが交わる点のyとxの値はeの2乗

 すなわち
 y=X=7.389056・・・ となっています。
 また y=X(logX-1) の傾きは X=1 で 0 となり、最下点 y=-1 と

 なります。

 

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数の風景-48

 log の構造

 前々回までオイラーの公式のすごさを見てきました。ではそれに頼らなくても
 微積分の連鎖が途切れないようにすることはできないのだろうかという疑問
 が湧いてきます。ここからはそのことについて考えてみます。

 まずその準備として、log の構造について見ていきます。
 つぎの式は数の風景-27で見たeのx乗を表す式から導くことができ、logの
 性質をよく表しています。

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 このlogの式に基づいて微積分をおこなってみます。

 ここでも関数 f(x)・g(x)の微分

 f’(x)・g(x)+f(x)・g’(x) となる公式を利用して log の微積
 を考えてみます。 f’(x)、g’(x)は f(x)、g(x)の微分関数です。

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 このように、logX の微積分をおこなうことができました。

 

 

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数の風景-47

 閑話休題(2)


 ここまで数の景色を眺めてきて、現実の世界とは一体何なのかとつい考えて
 しまいます。
 目に見える世界が現実だとすると、地上の目に見える現象はほぼリアルタイム
 に伝わってくるからまあ現実だと受け入れられますが、それに加えて同時性が
 現実の条件だとすると、空に見える太陽や月や星々の姿は現実のものといえる
 でしょうか。
 地球と月との距離は約38万km、地球と太陽との距離は約1億5千万km、光
 の速度は秒速 約30万kmだから、地球上の私たちが見る月は約1.3秒過去
 の姿、太陽は約500秒つまり約8分20秒過去の姿ということになります。つまり
 厳密には月や太陽の姿は現実のものではないということになります。
 まして夜空に輝く何光年、何万光年もの距離にある星々の瞬きは何年も、何万
 年も過去の姿になります。

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 ここで発信と受信の2つの面で考えてみます。まず受信は天文台で宇宙観測
 しているような状況です。望遠鏡で見える宇宙は遠方ほど遠い過去の出来事
 になります。これは遠い宇宙に視点の中心を移せば、そこで発生した出来事の
 情報が私たちの地球に届いてそのことに私たちが気づくのに長い時間がかかる
 ということだから、私たちは遠い宇宙より相当遅れた時間帯に住んでいることに
 なります。
 一方、発信の面では、たとえば甲子園球場のナイター設備のライトが今、点灯
 したとします。するとその光はノイズにかき消されなければ約1.3秒後に月の
 表面から、約8分20秒後に太陽までの距離付近から、何万年か後に何万光年
 も離れた天体から観測されるでしょう。つまり、ライトの点灯に限っては甲子園
 球場が時間の先端にあることになります。
 ごく当たり前のことなのに発信と受信を総合したときになんだか不思議な感覚に
 陥ってしまいます。このような世界での微積分はひょっとするとオイラーの公式
 の微積分のように頭の中ではちょっと理解できないような奇妙なことになるの
 かもしれません。

 

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数の風景-46

 オイラーの公式 ・・・ 微積分の効果

 ここまで、実数部指数uが定数の場合とuが1次変数の場合について微積分を考え
 てみました。
 uが定数の場合は微積分のたびに、微分では位相がπ/2 だけ進み、積分では
 π/2 だけ遅れていくことが確認されました。
 uが1次変数の場合は、微分では位相がπ/4 だけ進み、積分ではπ/4だけ
 遅れていくとともに、振幅の変化も現れます。位相と振幅に与えられるこのような
 効果は、つぎの図のようにまとめられます。実線で表される円に対して微分または
 積分を行うごとに点線の矢印で表される効果が与えられます。

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  uが1次変数の場合は、微分のたびに位相がπ/4 進むとともに、振幅も増加して
 いきます。そして無限回の微分では振幅は無限大になっていくようです。
 逆に積分の場合は、積分のたびに位相がπ/4 遅れるとともに 振幅は減少し、
 際限なく0に近づいていきます。 なんだか不思議な感じですが。

 

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数の風景-42でオイラーの公式を用いた累乗、累乗根計算での動きを、またここで
微積分の計算での動きを見てきました。 まとめると、累乗、累乗根計算で無制限に
発生する虚数の問題や、微積分の計算でその連鎖が途切れる問題については回避
できる可能性を見出すことができました。
まだまだこの奥には想像を超える世界が広がっているでしょう。