πの計算(2)
数の風景-28 πの計算(1) の続編として今度はπの3分割からスタートして
同様の方法でπ値を計算してみました。途中は省略しますが、n回分割後の計算
式はつぎのようになりました。
前回の2分割スタートと今回の3分割スタートの計算値を同じ分割回数で比較して
みます。
πの計算はeの場合に比べて収束性が良く、いずれもn=10で小数点以下5桁
まで真値に一致しました。3分割スタートの方が少し精度が良いようにも見えますが
大差はないようです。
πの計算(1)
前回eを見たので今度はπを計算してみましょう。πは半円と半径の長さの比、
つまり π=(半円の長さ)/(半径) なのでそれを計算してみます。
下図の半径1の半円の長さはπですが、それを2分割して両端が円周と交わる
直線を引き、その2つの直線の長さを合計します。つぎにそれぞれの角度を2分
割して同じように直線を引き、その直線の長さを計算し、4本の長さの合計を
計算します。同じ要領でどんどん角度を2分割して1本の直線の長さを短くして
いき、円周に近づけながら合計の長さを計算していきます。 そしてn回分割後
の計算式が求められます。
分割回数nが小さい場合は、πの真値からずれた値が出てきますが、n値が大
きくなるにつれて真値に近づいていきます。
0,1,∞(無限大) 再び
数の風景-22で 0,1,∞について見てきましたが、そこで見逃してきた
つぎのような関係について考えてみます。
0×∞ 0/∞ ∞/∞
まず 0×∞ について
0は 0 = lim 1/n (n:自然数) ∞は ∞= lim 1/X
n→∞ x→0
X→0は X = lim 1/n と表されるから
n→∞
∞は ∞=1/(lim 1/n)
n→∞
したがって、0×∞ は
0×∞ = lim 1/n × 1/(lim 1/n)
n→∞ n→∞
= lim n/n
n→∞
= 1 ・・・ (1)
0/∞ について
0/∞ = lim 1/n /(1/(lim 1/n))
n→∞ n→∞
= lim 1/(n×n)
n→∞
= 0 ・・・ (2)
∞/∞ について
∞/∞ = 1/(lim 1/n) /(1/(lim 1/n))
n→∞ n→∞
= lim n/n
n→∞
= 1 ・・・ (3)
ここまではこれでいいのでしょうか。
じつはここで矛盾した結果が現れます。0×∞ について再度計算してみます。
(2)式から 0=0/∞でもあるので 0×∞ は (0/∞)×∞ とも表され
ます。 したがって
0×∞ = (0/∞)×∞
= 0×∞/∞ (3)式より ∞/∞ = 1 だから
= 0×1
= 0
となり、これは(1)式と矛盾します。
結局、0,1,∞は計算の結果を出すときに最後に一度だけどちらに収束する
かを判定することができるもので、計算の途中で四則演算をすることは原則
できないのではないでしょうか。 これは数学の世界では常識なのかもしれ
ませんが。