徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

数の風景-31

  πの計算(2)

 数の風景-28 πの計算(1) の続編として今度はπの3分割からスタートして
 同様の方法でπ値を計算してみました。途中は省略しますが、n回分割後の計算
 式はつぎのようになりました。

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 前回の2分割スタートと今回の3分割スタートの計算値を同じ分割回数で比較して
 みます。

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 πの計算はeの場合に比べて収束性が良く、いずれもn=10で小数点以下5桁
 まで真値に一致しました。3分割スタートの方が少し精度が良いようにも見えますが
 大差はないようです。


 

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数の風景-30

 円周角

 三平方の定理を見てきたので今度は円周角について見ていきましょう。

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 図で下辺ABが同じなら、点Cが円周上のどこにあってもその角度θの大きさは
 変わらないというのが円周角の特性ですね。今度はこれを確かめてみましょう。
 またθの求め方にも挑戦してみます。

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 今度は円周角に関係なく、線分ABの長さと、線分ABとA点から円の中心Oへ向
 かう直線とがなす角度∠OABの値が分かっているとき、円の半径rと 線分ABと
 円の中心との距離dの値を求めてみます。

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数の風景-29

 三平方の定理ピタゴラスの定理

 

 前回のπの計算には三平方の定理を使っていますが、この定理はつぎのように
 表されています。

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 この定理について証明をしてみます。
 まず直角の2つの隣辺と斜辺をそれぞれ2乗して三角形の外側に3つの正方形
 を作ります。そして2つの隣辺から作った正方形を下図の矢印の方向に回転させ
 斜辺で作った正方形に重ね合わせます。 ここから証明スタートです。

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数の風景-28

 πの計算(1)

 前回eを見たので今度はπを計算してみましょう。πは半円と半径の長さの比、
 つまり π=(半円の長さ)/(半径) なのでそれを計算してみます。
 下図の半径1の半円の長さはπですが、それを2分割して両端が円周と交わる
 直線を引き、その2つの直線の長さを合計します。つぎにそれぞれの角度を2分
 割して同じように直線を引き、その直線の長さを計算し、4本の長さの合計を
 計算します。同じ要領でどんどん角度を2分割して1本の直線の長さを短くして
 いき、円周に近づけながら合計の長さを計算していきます。 そしてn回分割後
 の計算式が求められます。

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 分割回数nが小さい場合は、πの真値からずれた値が出てきますが、n値が大
 きくなるにつれて真値に近づいていきます。

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数の風景-27

  自然対数の底 e について
 前(数の風景-18)に指数関数、対数関数というものに触れましたが、そこで
 唐突に e というものが出てきました。 
 この eのx乗 という関数は微分しても積分してもその形は変わらないという
 特別な性質がありますが、この性質からつぎのような「eの構造式」が導かれ
 ます。

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 いくつかのnの値についてeを計算してみます。

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 n=1,000,000 で小数点以下5桁まで真値に一致しました。ずいぶんゆっくり
 と近づいていくものですね。

 

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数の風景-26


 微積分が途切れる?


 ここで、 Y=log X という対数関数を考えてみます。この関数をXによって微分
 すると Y=1/X という式になります。

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 この式はXの-1乗ですが、これ以降、上の微積分の関係式を用いてXの-の
 累乗の世界の微分をどこまでもやっていくことができます。

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 ただどうしても気にくわないのはXの0乗で微積分の連鎖が一旦途切れてしまう
 ことです。これはなんとかできないものでしょうか。

 

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数の風景-25

  0,1,∞(無限大) 再び

 

 数の風景-22で 0,1,∞について見てきましたが、そこで見逃してきた
 つぎのような関係について考えてみます。
  0×∞  0/∞  ∞/∞  

 まず 0×∞ について
 0は  0 = lim 1/n  (n:自然数)   ∞は ∞= lim 1/X
       n→∞                x→0
 X→0は X = lim 1/n と表されるから
       n→∞
 ∞は ∞=1/(lim 1/n)
       n→∞
 したがって、0×∞ は
  0×∞ = lim 1/n × 1/(lim 1/n)
      n→∞      n→∞
       = lim n/n
        n→∞ 
       = 1     ・・・ (1)

 0/∞ について
  0/∞ = lim 1/n /(1/(lim 1/n))
      n→∞      n→∞
       = lim 1/(n×n)
        n→∞   
       = 0      ・・・ (2)

 ∞/∞ について
  ∞/∞ = 1/(lim 1/n) /(1/(lim 1/n))
        n→∞       n→∞
       = lim n/n
       n→∞ 
      = 1      ・・・ (3)

 ここまではこれでいいのでしょうか。


 じつはここで矛盾した結果が現れます。0×∞ について再度計算してみます。
 (2)式から 0=0/∞でもあるので 0×∞ は (0/∞)×∞ とも表され
 ます。 したがって
 0×∞ = (0/∞)×∞ 
      = 0×∞/∞   (3)式より ∞/∞ = 1 だから
      = 0×1
      = 0  
 となり、これは(1)式と矛盾します。

 結局、0,1,∞は計算の結果を出すときに最後に一度だけどちらに収束する
 かを判定することができるもので、計算の途中で四則演算をすることは原則
 できないのではないでしょうか。 これは数学の世界では常識なのかもしれ
 ませんが。

 

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