徒然散歩

経済や数学など自分の興味ある分野について書いています。

数の風景-10

 虚数
 
 ここまでの数はすべて実数のグループに入りますが、ここでさらに虚数という
 ものが出現します。これは2乗したら-になる数です。その数の素ともいうべき
 ものは通常 i で表されます。 この i は  i × i = -1 
 という性質を持っているとされており、通常 実数の前か後ろにくっつけて表示

 します。するとその数は、2乗したら負の実数になります。
 この虚数の世界は実数にこの i をくっつけることにより、実数と同じ規模の
 虚数の世界を作り出すことができます。

 だがここで私ははたと考え込んでしまいました。2乗したら-になる数の世界が
 あるのなら2乗したら i になる数の世界もあるのではないか。 もしそれを
 j としたら、 j × j = i となります。するとまた2乗したら j 

 になる数の世界もあるのではないかということになり、際限なく数の世界が広が

 っているような気がしてきます。このような無間地獄から逃れる道はあるので

 しょうか。

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 前回の答え

  答えは 「できる」 です。 1例だけ挙げておきます。
  
  2の1/2乗 × 2の1/3乗 × 2の1/6乗 = 2
  1.41421・・・×1.25992・・・×1.12246・・・=2

  これは指数の計算で簡単に説明できます。
  掛け算は指数どうしの足し算になるので
  1/2+1/3+1/6=1 となり、答えは
  2の1乗で2となります。

 

数の風景-9

無理数 

 これまでの数全体を有理数といわれていますが、ここで無理数というものも
 出現します。これはたとえば指数の値が分数で表されるような数字に混じって
 います。
 例として1から10までの1/2乗の値について見てみましょう。これは平方根
 と呼ばれていますね。

  1 の1/2乗   1
  2 の1/2乗   1.41421・・・
  3 の1/2乗   1.73205・・・
  4 の1/2乗   2
  5 の1/2乗   2.23606・・・ 
  6 の1/2乗   2.44949・・・ 
  7 の1/2乗   2.64575・・・
  8 の1/2乗   2.82843・・・
  9 の1/2乗   3
  10 の1/2乗   3.16228・・・

 この例では無理数が7個現れました。無理数の場合は小数点以下の数の並び
 に規則性が見られません。そしてそのような数の並びは無限に続くようです。
 なんだか気が遠くなるような話です。

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 ここで問題です

  いくつかの異なる無理数を使って有理数をつくることはできるでしょうか。


   答えは次回ブログで

 

数の風景-8

-(マイナス)の数

 つぎに-(マイナス)記号について考えてみます。

 整数の前に-をつけると負の整数になります。これは目ではなかなか見え
 ませんがどこかを基準値0にしてそれからの差をみるときに現れます。
 長さや重さなど測定できるものはなんでも、同じものを合計してそれを足し
 合わせた個数で割れば平均値を出すことができます。たとえば100個の
 リンゴの平均重量が230グラムだったとします。ちょっと大ぶりのものが250
 グラムあったとしたら平均値+20グラムとなり、小ぶりのものが200グラム
 だったとしたら平均値-30グラムとなりますね。統計学はこの計算からどん
 どん発展していったといっても過言ではないでしょう。

 +の指数を持つ数が分数の分子にあるとき、この指数の前に-をつけると、
 +の指数を持つ数が分母に移るのと同じ効果になります。つまり、分子に
 ある+の指数を持つ数は掛け算をする場合に相手の数に直接掛けることが
 できますが、-の指数を持つ数は相手の数が分数でない場合は-が消えて
 相手の分母になる、相手が分数の場合は-が消えて相手の分母に掛ける
 ことになります。
 まとめれば、-の記号を付け加えることにより+の数世界にそれと匹敵する
 規模の-の数世界が加わり、数の世界が拡張します。そして-の計算ルール
 さえ守っていれば、それ以外は-の数世界も+の数世界と全く同じように
 扱うことができます。 数の世界はどんどん広がっていきます。

 

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前回の答え

  答えは 両方とも「できる」 です。 1例ずつ挙げておきます。
  
  素数でない数で素数をつくる
    12 ÷ 4 = 3 
  素数だけで別の素数をつくる
     7 - 5 = 2

 

数の風景-7

 素数
 素数は1,2,3,4,・・・と続く自然数の中で1とその数自身でしか割り切れ
 ない数です。
 20までの数でそれに該当する数は1を除けば2,3,5,7,11,13,17,

 19の8個あります。数が増えるにつれて現れる素数の数は少しずつ少なくなって
 いくようですが、どれだけ大きくなっても発生しなくなることはないそうですね。
 この素数の現れる確率を表す素数定理というものがあり、それに関連する研究は今

 も続けられているようです。
 リーマン予想の証明という難問もこの素数に関係したものだそうで、面白そうだけど
 専門的過ぎて私は付いていけません。ただ あとで何らかの機会に素数定理に触れる

 かもしれません。

 それにしても素数というものをどう理解したらいいんでしょうか。私は「1を除く
 素数の網かごが、それぞれの素数からスタートしてその素数の長さごとに編み
 こまれていく網紐でつくられており、大きく編み進めていくほどに1本の網紐も
 通さない穴が現れる。そこからまた新しい網紐をスタートさせてさらに編み進め
 ていく。しかしどれだけ網紐数を増やしても世界を1つの穴もなく包み込むこと
 はできない。」というようなイメージをもっています。

 

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 ここで問題です

 つぎの条件で、素数でない数で素数をつくることかできますか。逆に素数
 だけで別の素数をつくることはできるでしょうか。
 条件: 計算式には1は使わないこと、そして+-×÷まで使っていいこと
     にします。

   答えは次回ブログで

数の風景-6

乗数 (または指数)  その(2)

 乗数(指数)の世界でもうひとつ特徴的なことは、指数の値が-であっても
 実数値は0より大きいことです。指数値とそれを計算した実数値との関係は
 つぎのようにまとめられます。
 Aが1より大きいという条件でAの指数xがつぎのような場合
  xが+の値のとき ・・・ 実数値は1より大きい
  xが0のとき   ・・・  実数値は1
  xが-の値のとき ・・・ 実数値は1より小さく0より大きい
 となります。

 例 +の指数       0        -の指数
  5の2乗=25  5の0乗=1  5の-2乗=1/25=0.04

 

 このように指数というものを使って、乗除算を指数の加減算に変換すること

 や、0乗が1をつくったり、-の指数が1以上の全ての実数を0から1の間に

 閉じ込めることができるのはすごいことですね。 この指数とその計算法の

 発明(発見というべき?)はすばらしい。

 

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                         ユキヤナギ


 前回の答え

  3年後の前者の耕作面積 1.2の3乗=1.728  元の1.728倍

    量 (1.2×(1+0.1))の3乗=1.32の3乗=2.2999
                            元の約2.3倍
  3年後の後者の耕作面積 1.5の3乗=3.375  元の3.375倍
    収量 (1.5×(1-0.1))の3乗=1.35の3乗=2.46
                            元の約2.46倍
 前者は耕作面積が後者の約半分なのに、収量はほぼ同じくらいまで伸びています。
     

数の風景-5

 乗数 (または指数)  その(1)

 たとえば 2×2×2 は2を3回掛け合わせています。これは2の3乗で8
 ですね。

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 2の5乗は32ですが、これに2の3乗(=8)を掛ければ256ですね。また
 2の5乗を2の3乗で割れば4になります。
 これは指数の加減算で表すことができます。つまり掛け算では指数どうし
 を足し算し、割り算では割られる数の指数から割る数の指数を引き算します。
 何を言いたいかといえば、指数を使うことによって、掛け算は指数の足し算に、
 割り算は指数の引き算になるところが何ともスマートだなと思うのです。

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 ここで問題です

  農業で、ある作物の生産を増やしています。元の耕作面積を1として
  3年連続で前年の2割増しで拡大しました。同時に土壌改良も進め
  こちらも3年連続で単位面積あたり1割増の収量になりました。一方、
  土壌改良なしで3年連続で耕作面積を5割増しで拡大すると3年連続
  で単位面積あたり1割減になるとします。3年後は前者と後者で耕作
  面積と収量はどのようになっているでしょうか。指数計算をうまく利用
  して計算してください。


   答えは次回ブログで

数の風景-4

 小数(循環する小数)

 小数は1より小さい数を表す数字です。前回の分数でも1より小さい
 数を表すことができます。そこで分数と小数を並べて見てみます。
   1/1     1
   1/2     0.5
   1/3     0.333333333333333333・・・
   1/4     0.25
   1/5     0.2
   1/6     0.166666666666666666・・・
   1/7     0.142857142857142857・・・
   1/8     0.125
   1/9     0.111111111111111111・・・
   1/10    0.1

  結果は分数はすっきりしているのに、小数は小数点以下が無限に続くもの
 があり歯切れが悪いですね。よく見るとその数字はどれも同じ数の繰り返しか
 同じ並びの繰り返しになっています。

 

 

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  前回の答え

 まず3人が各々3個ずつ取ります。すると9個なくなるから2個残ります。
 そこでハズレ1本を混ぜた3本のクジ引きをします。ハズレの人は残念ながら
 あと1個を受け取れません。
 これがどうして公平なのかは説明するまでもなく、3人ともハズレの可能性
 (「確率」とも言います)が1/3で公平だからです。
 なんだこれはみんなやっていることじゃないか、と怒らないでください。
 「過不足は公平なくじ引きで解決される」という平凡な真理は世の中に
 不可欠なものになっていますね。