有価値の生産に必要な原材料や動力あるいは人件費などの1つまたはいくつかが値上りすると、コストが上る。生産者はコストの上昇分を回収するのに売値を上げざるをえなくなる。これは供給力が低下したといえる状況だ。売値が上れば需要が減少する。
逆に生産者が努力の末コスト低減に成功したら売値を下げても利益を保てる。これは供給力が上昇したといえる状況だ。売値が下れば需要が増加する。この関係を供給力と物価変動のイメージ図上で示す。
<百日草> 百日草夏に顔見せ秋までも
有価値の生産に必要な原材料や動力あるいは人件費などの1つまたはいくつかが値上りすると、コストが上る。生産者はコストの上昇分を回収するのに売値を上げざるをえなくなる。これは供給力が低下したといえる状況だ。売値が上れば需要が減少する。
逆に生産者が努力の末コスト低減に成功したら売値を下げても利益を保てる。これは供給力が上昇したといえる状況だ。売値が下れば需要が増加する。この関係を供給力と物価変動のイメージ図上で示す。
<百日草> 百日草夏に顔見せ秋までも
物価の動きは供給力が十分でない分野ではディマンドプル型のインフレ基調、供給力を十分に持つ分野ではコストダウン型のデフレ基調となる。社会全体でもこの供給力と物価変動の関係は基本的には変わらないとみる。
ここまで考えてきた供給力と物価変動の関係を、需要を横軸に供給力を縦軸にとって以下のような図にまとめた。この図の要点は 需要=供給力 の直線にある。市場取引で物価が安定するのはこの直線上であり、直線より下は 需要>供給力 の領域でインフレ基調、直線より上は 需要<供給力 の領域でデフレ基調となる。現在の日本の状況は事例に示す供給力の大きい社会にあたり、デフレ気味の物価変動になりやすい。
供給力が十分でない分野の需給は景気後退時は需要が冷え込み、もともと不足がちな供給に近づく。したがって物価は上昇から沈静化へ、そして下落へと向かう。景気回復時には供給はゆっくりと回復するが、往々にしてそれを超える需要増により、ディマンドプル型のインフレになりがちだ。最終的には供給が需要に追いついてくることにより、物価は上昇から沈静化へ向かう。
供給力を十分に持つ分野の需給は景気後退時は供給過剰感から安売り競争が激化しコストダウン型のデフレへのルートをたどりがちだ。景気回復時は需要増に供給が速やかに追いつくために物価は上昇ぎみだが据え置きのまま推移することもあり、デフレ脱却としての明確な物価上昇局面には至らないだろう。ただもう1つの要因として、原材料の輸入価格上昇によってそれを使う業種で製造原価が上昇し、コストアップ型のインフレが発生する可能性はある。
一方、コストダウン型のデフレは製造会社などが企業努力によって製造コストの低減を実現し、販売単価を下げても利益を確保できるようにしていこうとする動きによって現れる。そして価格競争に打ち勝つことにより販売量を伸ばしていこうとする戦略だ。
この動きは物価を引き下げることで需要を刺激する。 コスト低減への取り組みによって生産者である企業は体質を強化していく。しかしこれが行き過ぎれば関連の下請企業にしわ寄せが行ったり、従業員の労働環境が劣悪になったりするなど負の効果が現れないとも限らない。血の滲むような努力をしてコスト削減を図るだけでなく、もし企業に余力があれば利益を社員への給料として還元し個人消費の向上を図るトリクルダウン方式の方がより経済活性効果があるかもしれない。いずれにしても体質を弱めることなく経済全体も一定の活力を維持していくにはこの微妙なバランスを保つことが重要になってくる。
<ヒマワリ> 暑い日にヒマワリさえも顔そむけ
ところがアベノミクスによる円安効果で輸入価格が上昇しコストアップ型のインフレになるはずなのに、原油価格については輸入価格は2014年後半頃から上るどころか下る一方になった。円安で原油輸入価格が上昇しないのは、外為相場とは全く別の変動要因が円安効果を打ち消しているためでもある。それは原油需給が供給過多に傾き、価格下落への強い動きが現れてきたことによる。 この需給バランス変動の原因は新聞や雑誌に詳細に解説されている。その内容をかいつまんでいえば世界規模で原油への需要が軟化しつつあるにも関わらず供給量をそれに合わせて調整していくことがなされていないため、デフレ効果となって現れたということだろう。